魑魅魍魎な登場人物で阿鼻地獄なナルコスの暗黒世界
1980年代末から90年代初期までコロンビアは、「ウォッチメン」に登場するオジマンディアスのような王の中の王が君臨、フリッツ・ラング監督「ドクトル・マブゼ」級に強烈な悪のカリスマが支配する、カルテルと呼ばれる組織で裏世界を統治し、その男は本気で大統領を目指した。この物語は実話に基づいている【永久保存版】。
目次
ナルコスのイントロダクション
全ナルコストへ送る
惚れる悪の造形、ダークヒーローの系譜、悪人列伝最前線、中毒者(=ナルコスト)続出の海外ドラマ「ナルコス」。
境界を超越する登場人物に感情移入、その果てにあるものとはー。
「麻薬カルテルとは、受け継がれていくものだ」
このシーズン3のコピーは、シリーズを体現している。
ナルコスはいちど鑑賞を始めてしまったら、コカインの作用に似ている症状を引き起こす。
コカインの作用(Wikiより)
感覚神経の興奮を抑制し、また中枢神経に作用して、精神を高揚させる働きを持つ。
コカインは薬物依存症の精神依存が長時間作用する。
ナルコスも途中でみることをやめることは絶対に出来なくなり、抜け出せなくなる。
これは黒沢清の映画「回路」で使われたインターネットを介し、浸食された日常から、世界の終わりを描いていたのと似ている。
人は安全なもの、安定、正義を求める一方、悪、危険なもの、異常な世界から目を離せない。
そう、法の向こう側にいる人達を。
どこかでアウトサイダー等の非合法にあこがれ的な感情を持っている。
それらを取扱う作品を観ている時、自身の善悪の境界線はあいまいになりゆらぐ。
あちら側に感情移入している自分に気づく。
悪の側から描いた作品が心底ゲスなのに、あちら側にいっている時、その作品は超がつくほど面白いと言える。
たとえば、ロブ・ゾンビの「デビルズ・リジェクト」がそうであったように。
その最たるシリーズの最新版が「ナルコス」なのだ。
※画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)
僕が約10年以上前、漫画「デンドロバテス」に出会った時から思い描いていた。
こんな作品があったらいいのにと。
この漫画で描かれていた、コロンビアのカリという都市で、起きていた麻薬戦争。
黒髪のシカリオ(殺し屋)として、コロンビアの毒ガエルが生きた世界をもっと知りたかった。
日本でほとんど知られていないコロンビア、地球の反対側にある危ない国。
コロンビアと言えば、1994年のサッカーW杯で、オウンゴールした選手を射殺してしまう国なのだから、きっとそうに決まっている。
10年前の自分がコロンビアでの麻薬戦争を映像でみたいと思った時、そういった作品はなかった。
少なくとも、僕が求めている「仁義なき戦い」の実録路線で、麻薬戦争を全部観せてくれる作品は。
そしてやっと!!!現れたのが「ナルコス」なのである。
ナルコスは2015年のシーズン1で、コロンビアの麻薬密売組織メデジン・カルテルを創設したパブロ・エスコバルから始まる。
シーズン3で10年以上前の僕を虜にした、カリ・カルテルがメインとなる。
2時間の映画ではとても収まらないこの作品、ドラマシリーズ化してくれて、本当に感謝している
「ゴッド・ファーザー」に代表される、ファミリー愛に溢れながら、仁義なきビジネスになり変わる世代交代。
「グッドフェローズ」だったら、入乱れた個性的なキャラや、時系列を入れ替える編集スタイル。
「スカーフェイス」では、キューバ人であるマフィア トニー・モンタナ成り上がり物語。
そのトニー・モンタナとモメた、コロンビアの麻薬カルテルが登場する世界観。
その他、枚挙に暇がない程、愛すべき映画の要素が余す事なく、取り入れられている。
これぞまさに「思考は現実化する」である。
「麻薬カルテルとは、受け継がれていくものだ。」
繰り返しになるが、このコピーで表現されている、10年以上前の自分の中で点だったものが、線としてつながる時がきた。
「プラネット・テラー」でダコダ・ブロック役のマーリー・シェルトンの次の台詞が印象的。
「人生のある時点で、無駄な才能が全部役に立つ。点が結ばれ線になる。落ちてはまったら、這い上がれ。」
このブログがあなたのためになることを願う。
ナルコスの作品概要
1980年代から世界市場を急速に支配したコカインの掌握をめぐって、麻薬カルテルvsコロンビア+米政府が実際に繰り広げた壮絶な麻薬戦争。
動画配信(NETFLIX独占配信)
・シーズン1:2015年8月28日〜配信中
・シーズン2:2016年9月2日〜配信中
・シーズン3:2017年9月1日〜配信中
・シーズン4:2018年11月16日〜配信中(メキシコ編)
ナルコスのキャラクター紹介
シーズン1・2
メデジン・カルテル
メデジン・カルテル 相関図
パブロ・エスコバル(キャスト:ヴァグネル・モウラ)
コロンビアでメデジン・カルテルを創設した成り上がりの「麻薬王」。
自らの野望は、所構わず、誰が相手でも、引けを取らない超大物。
その矛先が向いた相手が政府だとしても、真っ向から戦争を仕掛ける。
敵に回したら国相手でも容赦ないが、誰よりも家族を愛する、感情の起伏の激しい漢。本物の悪党。
ヴァグネル・モウラの代表作
・エリート・スクワッド(2007年)
・エリート・スクワッド2(2010年)
エスコバル・ファミリー
タタ(写真:左 キャスト:パウリナ・ガイタン)
パブロの妻。
エルミルダ(写真:右 キャスト:パウリナ・ガルシア)
パブロの母親。
パウリナ・ガイタンの代表作
・闇の列車、光の旅(2009年)
グスタボ・ガビリア(写真:右 キャスト:フアン・パブロ・ラバ)
パブロの従兄弟。
メデジン・カルテルナンバー2。
パブロから実務を任され、組織を切り盛りする財務責任者。
組織の頭脳でパブロの女房役。
カルロス・レーデル(キャスト:ファン・リーディンガ―)
レオンがコロンビアからマイアミに運んだコカインと出会い、パブロと共にアメリカへの密輸ルートを作る。
ジョン・レノンとヒトラーを崇拝、メデジン・カルテルの最高幹部。
アメリカDEA
スティーブ・マーフィー(キャスト:ボイド・ホルブルック)
シーズン1-2の主人公兼物語の語り手。
DEA(麻薬取締局)捜査官。
元々はマイアミ勤務だったが、麻薬流通の出所を突き止めるため、コロンビアへやってくる。
ボイド・ホルブルックの代表的出演作
・LOGAN/ローガン(2017年)
・ザ・プレデター(2018年)
・月影の下で(2019年)
ハビエル・ペーニャ(キャスト:ペドロ・パスカル)
シーズン3からは、主人公兼語り手となる。
悪にも、権力にも屈しない、正義と真実を求める凄腕捜査官。
ペドロ・パスカルの代表的出演作
・キングスマン ゴールデン・サークル(2018年)
新人のDEA捜査官の2人
クリス・ファイストル(写真:右 キャスト:マイケル・スタル・デイビット)
ペーニャの指示でカリに行く。
ダニエル・ヴァンネス(写真:左 キャスト:マット・ウィーラン)
クリスの相棒。
チリに派遣された事がある。
コロンビア政府
オラシオ・カリージョ(キャスト:モーリス・コンプト)
コロンビア軍大佐。
パブロを追い詰めるため、結成された特捜隊隊長。
パブロを倒す為には手段を選ばない。
ヒューゴ・マルティネス(キャスト:ファン・パブロ・シュク)
カリージョの後任、コロンビア軍大佐。
エドゥアルド・サンドバル(写真:右 キャスト:マロノ・カルドナ)
ガビリア大統領を補佐する副大臣。
セサル・ガビリア(写真:左 キャスト:ラウル・メンデス)
コロンビア大統領。
パブロと全面戦争を展開する。
シーズン3
カリ・カルテル
カリ・カルテル 相関図
ヒルベルト・ロドリゲス(写真:右 キャスト:ダミアン・アルカザール)
カリ・カルテルの最高指導者。
パブロとは正反対のカルテル運営により、組織内外に味方を作る天才。
天下を取った完璧な管理能力は、ビジネスだけでなく、家庭内にも現れている。
組織が向かうべく次のステージを発表し、天地がひっくり返る。
ミゲル・ロドリゲス(写真:中右 キャスト:フランシスコ・デニス)
ヒルベルトの弟であり、カリ・カルテルのナンバー2。売上・賄賂を管理。
外交的な兄とは対照的に、内向的で温厚な性格。
垣間見える二面性が覚醒した時、真の顔が露出し、幹部をも驚かせる。
パチョ・エレラ(写真:中左 キャスト:アルベルト・アンマン)
カリ・カルテルの幹部のひとり。
流通・警備の責任者。
組織No.1のセクシーな男前だが、ハードな同性愛者。
カルテルへの忠誠心も高く、ブレない生き方は、容姿だけでなく、一本筋が通っている男。
チェペ・サンタクルス・ロンドーニョ(写真:左 キャスト:ペピ・ハパゾティ)
カリ・カルテルの幹部のひとり。
ロドリゲス兄弟の幼なじみ、アメリカ担当(NY)。
イケイケの武闘派で、理屈が通じないところがある。
交渉決裂時はどんな手を使ってでも、自分の意見を通す。
フアレス・カルテル
アマド・カリージョ・フエンテス(キャスト:ホセ・マリア・ヤスピク)
空の王者と呼ばれるメキシコの麻薬王。
フアレス・カルテルのボス。
シーズン4
ナルコス メキシコ
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ナルコスのメイン・ディレクター
ジョゼ・パリージャ
ブラジルの新鋭映画監督、映画プロデューサー、脚本家。
ジョゼ・パリージャは、社会性のある題材とリアルなバイオレンスアクションを得意とする。
多くの作品で、ワーグナー・モウラが主演することが多い。
2002年監督デビュー作であるドキュメンタリー映画「バス174」では、2000 年のバスのハイジャック事件の悲劇的な事件を描いた。
2007年「エリート・スクワッド」では、警察隊のメンバーが直面する苦難を描いたゴリゴリのアクション映画で、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、最も成功したブラジル映画のひとつとして知られている。
「バス174」と「エリート・スクワッド」に続く3部作として、2010年「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」を監督し、ブラジル史上最高の興行収入を記録している。
これまでの実績からハリウッド映画であるロボコップリブート企画「ロボコップ(2014年)」の監督に抜擢される。
そして、2015年に「ナルコス」の製作総指揮、監督(2話)を務める。
エリート・スクワッド
エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE
ロボコップ(2014年)
2014年にリブートされ、新たな傑作「ロボコップ」は記憶に新しい。
ポール・ヴァーホーヴェン節全開のバイオレンスによるブラックな笑いは潜めても、ジョゼ・パリージャらしい皮肉の効いたダークな作風、戦闘シーンもよりリアルなアクションに進化した。
ロブ・ボッテンによるロボコップデザインにより、スリムでスタイリッシュに生まれ変わった。
また、アカデミー編集賞にノミネートされたフランク・ユリテリ等オリジナルを継承し、ジョゼ・パジーリャワールドへ発展させた傑作リブート。
オリジナルの重要なテーマであるアイデンティティーについては、作品の中心に据えられているが、単なる焼き直しではない、大胆な改変への挑戦は評価されるべきアティチュードだ。
エンテベ空港の7日間
2018年製作の最新作。
テロ側の葛藤と、政府側の内政問題のどちらにも寄り過ぎることなく、両軸のまま終末に向かって、突き進んでいく。
史実ベースだし、これまで多くの作品(本題材の映画) が作られているので、結末はわかっている。
それでもこのように臨場感溢れ、新鮮さを失しなわないのは、「ロボコップ」のリブート時にも魅せてくれたジョゼ・パリージャの力量の賜物。
また、今回はこれまでのパリージャ作品のような、特殊部隊メインでも、権力者メインの偏ったものではない。
同じような撮り方をすれば、「エリート・スクワッド」シリーズ、「ナルコス」になってしまうからだ。
ダンス〜サンダーボルト作戦のクライマックス〜無音のエンドロール。
これをひとつなぎに観れば、社会派作家パリージャがサンダーボルト作戦を正面から取り扱う新境地を切り開いた楽しみを味わうことができる。
ジョゼ・パジーリャは、フィルモグラフィーから「ナルコス」以前からその実力は折り紙つきなのがわかる。
まとめ
・ナルコスのイントロダクション
・ナルコスの作品概要
・ナルコスのキャラクター紹介
・ナルコスのメイン・ディレクター
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ナルコスのサブキャラクターはこちらをチェック↓
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