ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

【映画ゴッドファーザー PART II】何がそんなにすごいのか改めて検証してみる

今こそみるべき史上最強の続編を刮目せよ

ゴッドファーザーほど1or2作目論争が加熱する作品はあるだろうか。シリーズものにはつき物なので、どの作品もかなり接戦するものの、ゴッドファーザーほどは肉薄してはいない。それほど甲乙がつけ難いというのは歴史が物語っており、1・2のどちらもヤバいというのは一握りの存在だ。今回は 「ゴッドファーザーPARTII」の何がすごいのか、最強の続編とも言われるその由縁について迫る【永久保存版】。

 

目次

【映画ゴッドファーザー PART II】オリジナルを超える続編を目指して制作が開始

続編制作にあたり、観客とコッポラ自身が「PART II」をみた時に、製作される必要があったと言えるものでなければ意味がないといった必然性のある制作体制を目指すことになった。

 

「PART II」最大の特徴は、続編という概念に縛られず、2つの物語が同時進行するという難易度の高さをハイレベルに実現させたこと。優れた続編でもあり、前日譚でもあるというその2面性を併せ持つ稀有な作品。

 

前作では製作陣とがんじがらめであったコッポラであたったが、その成功により、制作の自由を与えられコッポラは、ひたむきに続編のプロジェクトを進めていくことになった。

 

尚、今回の記事も参考にさせて頂いたのが、ハーラン リーボ著「ザ・ゴッドファーザー」。

 

前作「ゴッドファーザー」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

前作に引き続いて漲るエネルギー全てをかけた「PART II」は、アカデミー賞で9部門でノミネートされ、そのうち作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞・作曲賞・美術賞を受賞した。

 

第1・2作共に作品賞を受賞、ヴィトーを演じる俳優が男優賞を複数回すると言った史上初の快挙を達成している。

 

これを支えるのが、コッポラを支えるオリジナルのスタッフとキャストだ。そして、新たに加わった当時新鋭だったロバート・デ・ニーロであろう。

 

【映画ゴッドファーザー PART II】ロバート・デ・ニーロの大抜擢

デ・ニーロは、前作でソニー役のオーディションでは落選してしまったが、コッポラの脳裏に衝撃を与えた強烈なオーラは忘れられることなく、この大役に指名される。

 

「PART II」としてコッポラが構想していたのは、マイケルだけではなく、ほぼ同じ年齢の父親と息子を並べ、その対比を描くという難題を実現させるというもの。

 

その片方を担う若きヴィトーという困難な役柄は、デ・ニーロが当時ソニー役のイメージにそぐわなかったものの、殺し屋として印象づけた迫真の演技によって導かれることになった。

 

コッポラに「身体中に電気が走った」と言わしめ、その後「ミーン・ストリート」をみて、特徴的な顎と生意気な笑みを持っているデ・ニーロを若きヴィトー役に決めたという。

 

ちなみに、当初デ・ニーロは前作のポーリー役と考えられていたが、他のキャスティングとの兼ね合いによる大人の事情により、デ・ニーロを手放しまっていた。

 

【映画ゴッドファーザー PART II】マイケル像の果てに待つものとは

前作でのエンディングでは、あんなにも華やかにボスを継承し、あらゆる可能性を秘めた将来性のある代襲劇をみせたマイケルだったが、「PART II」ではかなり厳しい立場に置かれている。

 

前作では冷やかな一面をみせていた程度だったが、「PART II」では冷酷で内症的な恐ろしい人間へと変貌を遂げてしまう。

 

コッポラ曰く、マイケルを罰するために、誰も彼を羨む者はいなくなるだろうと語り、権力という魔物の毒牙にかかった姿をさらすことになる。

 

組織を背負い、運営する苦悩に満ちた、何事も白黒はっきりつけてしまう性分が災いし、暗黒面が全面に露出してしまい、元に戻ることは不可能な行き着くところまでいってしまう。

 

目には目をと言わんばかりに、あらゆる強引さを用いて、次々と組織の立て直し、エリア拡大路線を繰り広げることで、犠牲も多く、敵も作ることになり、孤立・孤独な戦いが続くことになる。

 

それでは、今回も記事のテーマである「PART II」の何がすごいのかということについて本題に入っていきたい。

 

公式ガイドブック「ザ・ゴッドファーザー」に記録されている事実に基づいて、数々の逸話から抜粋したものを10個にまとめて紹介したい。

 

【映画ゴッドファーザー PART II】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

【映画ゴッドファーザー PART II】何がすごいのか最低限知っておきたい10の

※画像の引用元:IMDb公式サイトより

 

・監督

当初、「PART II」の制作に携わることに難色を示していたコッポラであったが、パラマウント側からの断り切れないオファーにより、その申し出を快諾。

 

制作に関する全面的な決定権、事実上無制限の予算、コッポラの都合を優先するスケジュール、オリジナルスタッフ・キャストの起用、天文学的な報酬額など。

 

また、パラマウントのチャーリー・ブルードーンの口説き文句である、「歴史を作る、オリジナルより優れた続編を作った奴はいな、君ならできる。」も響いた。

 

・脚本

「PART II」制作にあたり、コッポラはプーゾの原案である、20世紀初頭と1950年代を交互に描く物語とした。

 

20世紀初頭パートは、原作にあるヴィトーの過去パートをほぼそのまま活かす形で進行し、原作にはない1950年代のパートは、当時の社会情勢を背景に悲劇的な変化を遂げていく。

 

この発想を元に、時間がいったり来たりする時間が自由に流れる中で、ファミリーの繁栄と衰退を対比させるといった難易度の非常に高いものの、革新的な続編となった。

 

・ロケ

「PART II」のロケ地となったのは、ネバダ州タホー湖、ロサンジェルス、ニューヨーク、ラスベガス、サントドミンゴキューバの代用地)、シチリア島

 

タホー湖畔での教会や別荘、ロサンジェルス郊外の刑務所、ニューヨークのリトルイタリー、ラスベガスではカジノの空いている時間、サントドミンゴ領内のあらゆる場所など。

 

圧巻なのが、シチリア島での史上最大規模のロケ。魚市場の改装や当時の移民到着センターの再現のもと、800人のエキストラで埋め尽くされた。他にも20世紀初頭が舞台とるシチリア全土で撮影が行われ、撮影は約50日に及んだ。

 

・デ・ニーロアプローチ

若きヴィトーを演じる大役に大抜擢されたデ・ニーロは、現地に赴き地元の生活習慣から独特の訛りなども覚え、通常ではあり得ないほどの短期間でシチリア語を身につける。

 

さらに、マーロン・ブランドが作り上げたヴィトー像を基準にしながら新たなヴィトーを創造し、一気にスターダムへと駆け上がるデ・ニーロアプローチを開眼させた。

 

この徹底した役作りによるのめり込みは非常に有名。のちの作品でも多くみられることになる役者魂の真髄であり、時には常軌を逸してまで行われるため、尊敬の念を込めてこのように呼ばれている。

 

・続投組のキャスティング

主なオリジナルのメンバーとして、コルレオーネ・ファミリーは大幅にギャラがアップして再結集。特に、アル・パチーノは3万5000ドルから50万ドルプラス興行収入の1部として、当時は2000%の増額と報じられた。

 

また、マイケルの側近も前作の出演者が揃った。ロッコ・ランポーネのトム・ロスキー、アルベルト・ネリのリチャード・ブライト、ウィリー・チッチのジョー・スピネル。

 

ただ、クレメンザを演じたリチャード・カステラーノは条件が合わずに再登場が実現できなかった。

 

・新たなキャスティング

そのクレメンザの代わりに、ヴィトーの旧友として幹部役にフランク・ペンタンジェ役としてベテラン俳優マイケル・V・ガッツォ。


ハイマン・ロスには、ニューヨーク・アクターズ・スタジオを25年間主催してきた演劇界の大御所であり、メソッド演技を確立したリー・ストラスバーグが映画初出演し、話題となった。

 

他にも、ドン・ファヌッチに「暗殺の森」などのガストーネ・モスキン、ミオのアメリゴ・トッド、コニーの3番目の夫役であるマール・ジョンソンにトロイ・ドナヒューなど錚々たる顔ぶれが並んだ。

 

・撮影&美術

20世紀初頭を再現するため、ニューヨークでは街の1ブロックを当時のリトルイタリーに造り変えるなど大規模な工事がおこなれた。

 

撮影においても、お祭りシーンに合わせてファヌッチを粛清するシーンでは、余計な光が入り込まないように、1ブロック全てを黒い布で覆い尽くすなど綿密された。

 

また、コルレオーネ・ファミリーの新たな住居である、タホー湖フルール・デュ・ラックと呼ばれる、有名な建築家による石造りの屋敷は、建物がひどい状態であったために大掛かりな改修作業が行われた。

 

・特殊メイク&衣装デザイン

「PART II」の特殊メイクにおいて、目玉となるはずだったが、本編では使われなかったファヌッチの首切りシーン。吹き出す血を帽子で受け止め、逃げ出していく(DVDの特典映像として未公開シーンに納められている)。

 

この特殊メイクでは、新たに皮膚を作り、スーツの下に隠したタンクに入った血とチューブ、噴出装置のスイッチにより稼働するように綿密な仕掛けがされていた。

 

衣装は、アンナ・ヒル・ジョンストンからテオドラ・ヴァン・ランクルに変わり、「俺たちに明日はない」でボニクラのギャングのイメージ、「ブリット」などでマックイーンを「クールの王様」にした衣装が有名。「PART II」ではアカデミーにノミネートされた。

 

・音楽

前作と同様にパーティシーンではカーマイン・コッポラが指揮をとり、「PART II」ではクレジットされていなかった前作とは異なり、サウンドトラックに提供し、名前が入っている。

 

ニーノ・ロータは、第 1 作の 3 つのメインテーマのうち2 つ、「ゴッドファーザー ワルツ」と「マイケルのテーマ」を拡張し、新しいテーマもいくつか提供している。

 

アカデミーでは、作曲賞として ニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラとして受賞している。

 

・編集

コッポラが当初から想定していた「PART II」の上映時間3時間30分に対して、何百時間もあるフィルム素材から2つの異なるストーリーを融合させるという編集は、困難を極めた。

 

それでも、ファーストカットは4時間51分というもので、そこからファイナル・カットまでかなりの部分を削ぎ落とす作業は昼夜を徹して行われた。

 

「PART II」の特徴である、普通の映画であれば2本分を1本にまとめるという偉業の達成は、試写会の直前にパラマント重役会議などを経て、最終的に3時間20分として完成した。

 

【映画ゴッドファーザー PART II】作品概要

前作の2年後に作られた続編。

 

1958年、ファミリーの新たなボスであるマイケルは、ニューヨークから収入源のラスベガスに近いネバダ州に拠点を移す。

 

1901年、シチリア島で9歳のヴィトーは天涯孤独となり、単身ニューヨークへと渡り、リトルイタリーで成長、頭角を現していく。

 

ファミリーのドンとなったマイケルの頭には、父の姿が浮かび、マイケルの回想という形で、2つの時代を交差させながら描く壮大な大河ドラマ。 

 

監督 フランシス・フォード・コッポラ

脚本 マリオ・プーゾ

   フランシス・フォード・コッポラ

原作 マリオ・プーゾ

製作 フランシス・フォード・コッポラ

  グレイ・フレデリクソン

  フレッド・ルース

公開 1974年12月12日

時間 200分

 

スタッフ

撮影 ゴードン・ウィリス

美術 ディーン・タポラリス

   アンジェロ・グラハム

特殊 メイク ディック・スミス

衣装 テオドラ・ヴァン・ランクル

音楽 ニーノ・ロータ

  カーマイン・コッポラ

編集ピーター・ツィンナー

  バリー・マルキン

  リチャード・マークス

 

【映画ゴッドファーザー PART II】登場する魅力的なキャラクター紹介

20世紀初頭パートに登場するキャラクター

ヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ

ゴッドファーザーとして登りつめるまでの日々が描かれる。

 

カルメラ・コルレオーネ(フランチェスカ・デ・サピオ

若い頃のヴィトーの妻。

 

ジェンコ・アバンダンド(フランク・シベロ)
ヴィトーが務めていた個人食料品店の息子であり盟友。ファミリーの初代相談役となる。

 

前作で本編には登場しないがDVDには特典映像で未公開シーンに収められている。原作に登場するキャラクター。

 

ピーター・クレメンザ(リチャード・カステラーノ

若い頃のヴィトーの盟友。

 

サルバトーレ・テシオ(エイブ・ヴィゴダヴィト)

同上。

 

ドン・トマシーノ(マリオ・コトーネ)

コルレオーネ村に住むヴィトーの古い友人。

 

ドン・ファヌッチ(ガストーネ・モスキン)
リトル・イタリーの顔役であるマフィア。大ボスはマランザーレ。


ドン・チッチオ(ジュゼッペ・シラート)
コルレオーネ村を支配しているボス。

 

コロンボ夫人(サベリア・マゾーラ
アパートの大家ロベルトに追い出されそうになり、ヴィトーに問題解決を依頼する。


ロベルト(レオポルド・トリエステ
コロンボ夫人が住んでいるアパートの大家。

 

1950年代のパートに登場するキャラクター

コルレオーネ・ファミリー

マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ

コルレオーネファミリーのボス。

 

フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール

ヴィトーの次男。

 

トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル

ヴィトーの養子かつ組織の顧問・相談役。

 

コニー・コルレオーネ・リッツィ(タリア・シャイア

ヴィトーの娘。

 

ケイ・アダムス・コルレオーネ( ダイアン・キートン

マイケルの妻。

 

アンソニー・コルレオーネ(ジェームス・ゴナリス)
マイケルとケイの長男。


メアリー・コルレオーネ(ソフィア・コッポラ
マイケルとケイの長女。

 

ディアナ・コルレオーネ(マリアンナ・ヒル
フレドの妻。

 

カルメラ・コルレオーネ(モーガナ・キング)

ヴィトーの妻。

 

マール・ジョンソン(トロイ・ドナヒュー)
コニーの3番目の夫。

 

コルレオーネ・ファミリーの幹部と構成員

フランク・ペンタンジェリ(マイケル・V・ガッツォ)

クレメンザが持っていたニューヨークの縄張りを引き継いだ幹部。

 

ロッコ・ランポーネ(トム・ロスキー)

前作から幹部に昇格。

 

アルベルト・ネリ(リチャード・ブライト)

 前作から幹部に昇格。

 

ウィリー・チッチ(ジョー・スピネル)

元クレメンザの部下、現ペンタンジェリの部下。

 

ミオ(アメリゴ・トッド)

マイケルのボディーガード。黒づくめの初老の男、セリフはない。

 

コルレオーネ・ファミリーの敵対勢力
ハイマン・ロス(リー・ストラスバーグ/ジョン・メグナ)

ユダヤ人であるマイアミを拠点する大ボス。


ジョニー・オーラ(ドミニク・キアネーゼ)
ロスの部下、シチリア人。


ロサト兄弟(ダニー・アイエロ、カーマイン・カリディ)
ロスの部下、兄のトニーと弟のカーマインの2人組。


パット・ギアリー(G・D・スプラドリン)
ネバダ州の上院議員

 

【映画ゴッドファーザー PART II】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ

成功して慕われていた幸せ者のヴィトー、恐れられ人が離れていき転落していくマイケル。その対照的なボス像の描かれ方が実に見事。

 

マイケルが父親の成功に取り憑かれ、ヴィトーの跡を追えば追うほど、それは遠く離れていったしまう幻想のよう。

 

やがてマイケルは時代が違うと悟ることになるが、むしろ生まれと育ちからして最初から積んでしまっている、と映画は物語っている。

 

・ヴィトーの成功

家族を殺され、シチリアからアメリカに渡り、リトルイタリーで成長したヴィトー。

 

ファヌッチを復活祭に紛れて暗殺し、代わって顔役になる。本編では描かれいていないが、マランザーレにも勝利し、ニューヨーク5大ファミリーになると推測できる。

 

ついには、家族の仇であるコルレオーネ村に戻るとチッチオを粛清し、復讐を果たす。

 

・マイケルの転落

静かだが、だいぶ衝撃的で、確信的にファミリーの崩壊が描かれていく。

 

パーティーシーンから一転、寝室への襲撃からはじまり、ペンタンジェリ・フレドの裏切り、犯罪調査委員会からの尋問、妻との別れ、母の死、ペンタンジェリの自殺、フレドの粛清。

 

目まぐるしく変わる各地で事件・事故が勃発。その火消しに回るが、ついては消えついては消えの地獄巡りのような気の休まらない日々が続き、そこには安息の余地はない。

 

・エンディング

その両者の対比をさらに象徴するかのように、前作のオリジナルメンバーが集う回想のエンディングが挿入される。

 

兄弟たちがまだ仲がよかった頃、ヴィトーの誕生日を祝うシーンだが、そこでもマイケルはスタンドプレーを発揮して、ひとりで取り残されるシーンが印象的だ。

 

ラストで映画は1950年代のマイケルのパートに戻り、邪魔者は全て消し去ったはずなのに、孤独に胸を痛め、かなり年老いたように描かれている。

 

まとめ

・【映画ゴッドファーザー PART II】オリジナルを超える続編を目指して制作が開始

・【映画ゴッドファーザー PART II】時系列シャッフル、デ・ニーロの大抜擢

・【映画ゴッドファーザー PART II】マイケル像の果てに待つものとは

・【映画ゴッドファーザー PART II】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

・【映画ゴッドファーザー PART II】作品概要

・【映画ゴッドファーザー PART II】登場する魅力的なキャラクター紹介

・【映画ゴッドファーザー PART II】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ 

 

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