ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

【映画ゴッドファーザー PART III】何がそんなにすごいのか改めて検証してみる


 史実ミックスのウルトラCを使った「PARTⅢ」も紛れもなく凄い

賛否両論あるものの「PARTⅢ」も紛れもなく傑作だと思っている。史実をミックスした大胆なストーリー構成、キャスティングの問題点、キャラクターの円環構造、バージョン違いなど、この映画には様々な特徴があり、一部で強く支持されている。個人的にも、映画の3部作の中でも本シリーズが最高峰だと確信しているので、揺るぎない固たる決意表明としてここに記す【永久保存版】。

 

目次

【映画ゴッドファーザー PART III】14年の空白と実現化の背景

「PART II」の時と同様に、「PART III」の制作に難色を示していたコッポラであったが、「地獄の黙示録」などの興行的なダメージが重なり、第1作(以下「ゴッドファーザー」)と重なる形で、財政的な理由により三度監督を引き受けることになる。

 

「PART II」公開後からパラマウント水面下では、密かにプロジェクトは動いており、相当数の草稿や脚本が描かれていることで知られる。

 

そこには、CIAとの抗争、中南米の独裁者暗殺など有名な脚本家により様々なアイデアとしての案が寄せられた。

 

また、コッポラに代わる監督としても様々な候補があげられ、中にはスタローン監督・主演といった企画もあった。

 

その中でも、「PART III」の原型となったのが、マリオ・プーゾによる草稿で、ファミリーの黄金時代である1930年代と、マイケルの甥がファミリーを引き継ぐという2つのストーリーを「PART II」形式で進めるというもの。

 

そして、パラマウント側の過去よりも現在に重点を置くという意向が加わり、コッポラとプーゾの共同執筆がはじまると、バチカンを舞台にするというアイデアから、バチカンを巡る史上最大級のスキャンダルが物語に加えられた。

 

【映画ゴッドファーザー PART III】史実ミックス

ゴッドファーザーシリーズでは様々な史実になぞられているが、「PART III」ではその影響がシリーズでいちばん色濃い。というのも、ストーリーの骨格そのものに実在の事件が組み込まれているから。

 

しかし、このことで関連組織や登場人物が複雑化してしまう。

 

そのため、失敗作という評価や作品がわかりにくくなってしまった理由だと思われるが、きちんと背景を認識することで、非常に造り込まれた作品であり、面白さが倍増するように仕掛けられている。

 

その実在の事件の概要は、1970年代後半から1980年代にかけて、バチカンで起きたマフィア絡みの金融スキャンダル。

 

当時、バチカン銀行における多額の使途不明金を巡って、黒く深い闇組織が関与していることに端を発するもので、映画を鑑賞するにあたり、この関係性は絶対に抑えておきたいところ。

 

この複雑に絡んだ問題に介入するのが、ファミリーのビジネスについて合法化を図るマイケル・コルレオーネというのが大筋。

 

これほどゴッドファーザーシリーズの完結編に相応しい題材はないと言って過言ではない。

 

【映画ゴッドファーザー PART III】 第3作としての興行的・批評的な評価

パート3論についてみていきたい。まず興行成績としては、「PART III」 は制作費の5400万ドルに対して、1億3676万ドルという成績。

 

ちなみに、「ゴッドファーザー」は、製作費600万ドル、興行収入24億5066万ドル、「PART II」は製作費1300万ドル興行収入19億3000万ドル となっている。

 

以下は映画のパート3だけの興行収入をまとめた2011年のランキングからベスト3を抜粋したもの。これを確認すると、5億ドルを突破しないとベスト10入りは難しい。

 

1.「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」(2011年/11億2202万ドル)

2.「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(2003年/11億1911万ドル)

3.「トイ・ストーリー3」(2010年/10億6317万ドル)

 

続いて、批評的な判断のひとつとして、ここではアカデミー賞を参考にしたい。

 

「PART III」ではアカデミー賞で7部門にノミネート(作品、監督、助演男優、撮影、美術、編集、音楽賞)されたものの、無冠となっている。

 

しかし、3部作でアカデミー作品賞に3本全てノミネートされるというのは、そうそうあることではなく、ゴッドファーザーシリーズ以外では「ロード・オブ・ザ・リング」3部作くらい(なお、「ゴッドファーザー」、「PART II」は作品賞を受賞している)。

 

このように、作品としての質が決して低いということではなく、 そういった面(興行的・批評的)で「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」は特別としても、「PARTⅢ」も大成功とはいかないまでも、まずまずの成績を収めているといえる。

 

それなのになぜここまで失敗作として非難されるのかと言えば、前2作が凄すぎるからに限る。

 

これはまずまずの映画では収まらない、大きく期待されたあのゴッドファーザーシリーズの完結編なのだ。

 

ゴッドファーザー」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

「PART II」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

とは言え、「PART Ⅲ」も凄い映画であるという根拠を示していきたいので、記事のテーマである「PART Ⅲ」の何がすごいのかということについて本題に入っていきたい。

 

今回も公式ガイドブック「ザ・ゴッドファーザー」に記録されている事実に基づいて、数々の逸話から抜粋したものを10個にまとめて紹介したい。

 

【映画ゴッドファーザー PART III】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

【映画ゴッドファーザー PART Ⅲ】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

※画像の引用元:IMDb公式サイトより

 

・監督

「PART II」に続き、またしても好条件での待遇によるオファーだった。ストーリーは一任、制作上の決定権、監督・脚本料プラス興行収入の一部だった。

 

コッポラは元々「ゴッドファーザー」「PART II」でシリーズは完結、その後日譚であり外伝的な扱いとして「PART III」を位置付けており、監督を引き受けると、プーゾとの執筆を開始し、かつてのオリジナルキャスト・スタッフを結集させる。

 

撮影はイタリアのチネチッタ、ロケをニューヨーク、ローマ、シチリアで行うこととなり、撮影準備に取りかかり、かつてのように統括して自分の映画への支配力を及ぼす。

 

・脚本

コッポラがプーゾと一致していた脚本の意見として、マイケルによる事業の合法化、莫大な財産を財団化し、子孫へと事業を継承し、コルレオーネ家をさらに発展させるというもの。

 

また、「PART III」でコッポラがこだわったバチカンを舞台にするいう発想を最大限に活かすため、「バンコ・アンブロジアーノ・スキャンダル」すなわちフリーメイソンメンバーで構成された極右組織P2によるイタリア政府の転覆計画に目をつけた。

 

この2軸の話をひとまとめにすることで、前2作にはない巨大な陰謀論を下敷きにした作品構造になっており、これまでとは規模・深さが段違いに跳ね上がっている。

 

・スタッフ

このような構想の元、前2作と同様にコッポラファミリーが担当することになり、衣装デザインは毎回変わるが、「PART III」ではミレーナ・カノネロが務めることになった。

 

このようにして、前作の撮影から15年の空白があるものの、「PART III」でもゴッドファーザーらしいトレードマークをもつ画面構成となっている。

 

なお、今回の現場ではシルバーフィッシュと呼ばれる当時最新機器を満載したコッポラ専用であるトレーラー内にある4台のモニターで撮影の様子をチェックし、無線機で指示を出す遠隔操作や、その場で編集作業も行われた。

 

・3部作全ての出演者

マイケルを演じるアル・パチーノは、「PART III」では400万ドルで契約。

 

そして、コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア)、ケイ・アダムス・コルレオーネ( ダイアン・キートン)、テレサ・ヘイゲン(テレ・リヴラーノ)、アルベルト・ネリ(リチャード・ブライト)も続投。

 

なお、キャラクターとしては全てに登場しているが、演じている俳優が全て違うのがドン・トマシーノ。

 

ゴッドファーザー」はコラード・ガイパ、「PART II」はマリオ・コトーネ、「PART III」ではヴィットリオ・デューズが演じている。

 

・「ゴッドファーザー」からの復帰組

名脇役たちが戻ってきた要注目ポイント。

 

シチリアに住むマイケルのボディーガードのカロ(フランコ・チッティ)、大御所歌手のジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)、ソニーの愛人でヴィンセントの母ルーシー・マンシーニ(ジニー・リネロ)、パン屋のエンツォ(ガブリエル・トーレイ)。

 

しかし、ある重要なメンバーが戻ってくることがなかったために、大幅に脚本変更の必要性が生じた。

 

・脱退したロバート・デュヴァル

ギャランティーの問題により、ロバート・デュヴァルが演じていた主要キャラクターの1人であるトム・ヘイゲンが登場することはなかった。

 

代わりに、右腕的な弁護士をB・J・ハリソンが演じているものの、存在感は薄い。

 

トム・ヘイゲンの不在はかなり大きく響いていて、コッポラの元々の構想では、3部作全てにおいてファミリーの兄弟の死が重要な役割を占めていた。

 

代わりに、マイケルとヴィンセントの話が中心に添えられることになり、結果的にはロジャー・エバートにも「前2作をよく知れば、PART IIIの価値は格段に上がる」などのコメントにもあるように、作品全体としては好評価につながっている。

 

・その他新たな登場人物たち

ヴィトーの旧友ドン・アルトベッロにはイーライ・ウォラック、ヴィトーの相談役だったジェンコの息子ドミニク・アッバンダンドにはドン・ノヴェロ。

 

ジョーイ・ザザには、 他の候補者であるミッキーローク、ジョン・タトゥーロらを押し退けてジョー・マンテーニャが選出された。

 

ジャーナリストに、ブリジット・フォンダが起用されている。

 

なお、マドンナも候補に挙がったが、金銭的に折り合わなかったために、実現が叶わず。

 

ソニーの私生児ヴィンセント役

ヴィンセント役にはソニーの時と同じく応募者が殺到、その数は100人を超えた。

 

候補者には、マット・ディロンショーン・ペンニコラス・ケイジヴァル・キルマーなどが最終候補に残った。

 

パラマウントは、アレック・ボールドウィンを推したが、スケジュールが合わずに断念することになり、最終的に独特の雰囲気のあるアンディ・ガルシアが選ばれた。

 

・マイケルの娘メアリー役のウィナノ・ライダー

メアリー役も有名女優が集まった。ユマ・サーマンダイアン・レインメアリー・スチュアート・マスターソン、マデリン・ストウ、モリー・リングウェルド、マドンナ。

 

さらに、当時無名だったジュリア・ロバーツサンドラ・ブロックもテストを受けていた。

 

最終的には当時17歳のウィノナ・ライダーが選ばれるが、のちに最大の危機を迎えることになる。

 

ウィノナ・ライダーが降板し、ソフィア・コッポラの起用

ウィノナ・ライダーは「恋する人魚たち」(1990年)の撮影が延長した影響により、「PART III」撮影の開始直後に体調を崩し、ドクターストップにより続行不可能となってしまう。

 

テストを受けていた他の候補者は都合が合わず、クリスマス休暇でちょうどローマに訪れていた娘ソフィアを代役として起用することをコッポラは決断したものの、数時間後に撮影が控えているほど、急遽仕立てられたものだった。

 

ウィノナ・ライダーの降板はかなりの痛手となったが、ソフィアの出演が決まると脚本は大幅に修正され、性的なシーンはほとんどカットされ、純粋な少女として描かれた。

 

【映画ゴッドファーザー PART III】作品概要

「PART II」から16年を経て公開された第3作。


1979年。コルレオーネ・ファミリーのドン、マイケルは老境にさしかかり、自分の犯した罪の重さに苦悩していた。

 

また、その資産を合法化し、将来に渡ってファミリーの繁栄を目指して、ある取引に乗り出す。


しかし、後を継ぐべき息子のアンソニーは、ファミリーの仕事を嫌って別の道へと進み、一方、娘のメアリーは、ファミリーが作った財団の代表として活動を共にしていた。


そんな時、マイケルの前に長兄ソニーの隠し子であるヴィンセントが現れる。

 

監督 フランシス・フォード・コッポラ

脚本 マリオ・プーゾ

   フランシス・フォード・コッポラ

原作 マリオ・プーゾ

製作 フランシス・フォード・コッポラ

  グレイ・フレデリクソン

  フレッド・ルース

制作総指揮 フレッド・フックス

      ニコラス・ケイジ

公開 1990年12月20日

時間 162分(劇場上映版)

   158分(再編集版)

 

スタッフ

撮影 ゴードン・ウィリス

美術 ディーン・タポラリス

   アンジェロ・グラハム

特殊 メイク ディック・スミス

衣装 ミレーナ・カノネロ

音楽 ニーノ・ロータ

   カーマイン・コッポラ

編集 ピーター・ツィンナー

  バリー・マルキン

  リチャード・マークス

 

【映画ゴッドファーザー PART III】登場する魅力的なキャラクター紹介

コルレオーネ・ファミリー

マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ

コルレオーネ・ファミリーのドン。

 

ヴィンセント・マンシーニアンディ・ガルシア) 

マイケルの兄ソニーの愛人の息子。

 

メアリー・コルレオーネ(ソフィア・コッポラ
マイケルとケイの長女。

 

コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア

ヴィトーの娘。マイケルの妹。

 

ケイ・アダムス・マイケルソン( ダイアン・キートン

マイケルの元妻、アンソニーとメアリーの母。

 

アンソニー・コルレオーネ(フランク・ダンブロシオ)
マイケルとケイの長男。

 

ルーシー・マンシーニ(ジニー・リネロ)

ゴッドファーザー」にも登場したコニーの親友、ソニーの愛人、ヴィンセントの母。

 

テレサ・ヘイゲン(テレ・リヴラーノ)

トム・ヘイゲンの妻。

 

コルレオーネ・ファミリーの構成員

アルベルト・ネリ(リチャード・ブライト)

マイケルの側近。

 

B・J・ハリソン(ジョージ・ハミルトン)

トム・ヘイゲンに代わり、マイケルの弁護士を務めている。

 

アンドリュー・ヘイゲン(ジョン・サヴェージ

トム・ヘイゲンの息子で聖職者。

 

ドン・トマシーノ(ヴィットリオ・デューズ)

ゴッドファーザー」「PARTⅡ」にも登場した、コルネオーネ村に住むヴィトーの古い友人。

 

カロ(フランコ・チッティ)

ゴッドファーザー」にも登場したシチリアに住むマイケルのボディーガード。

 

ドミニク・アッバンダンド(ドン・ノヴェロ)

初代相談役の息子でマイケルを支える側近。

 

アーマンド&フランシスコ(ロゲリオ・ミランダ&カルロス・ミランダ)

ヴィンセントの部下でボディーガードを務める双子の兄弟。

 

ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)

ゴッドファーザー」にも登場した大御所歌手。

 

コルレオーネ・ファミリーの敵対勢力

ドン・アルトベッロ(イーライ・ウォラック

コルレオーネ・ファミリーの古い友人。

 

ジョーイ・ザザ (ジョー・マンテーニャ

アルトベッロ傘下のチンピラ。

 

アントニー・スクゥイルアロ(ビト・アンツォフェルモ)

ジョーイ・ザザのボディーガード。

 

モスカ(マリオ・ドナトーネ)

アルトベッロが雇ったシチリア人のフリーの殺し屋。

 

スパラ(ミケーレ・ルッソ)

モスカの息子。

 

その他

ギルディ大司教(ドナル・ドネリー)

バチカン銀行総裁。

 

ドン・リシオ・ルケージ(エンツォ・ロブッティ)

インモビリアーレ社の取締役会長。イタリア政財界の有力者。

 

レデリック・カインジック(ヘルムート・バーガー

アンブロシアーノ銀行頭取。

 

ランベルト枢機卿(ラフ・ヴァローネ)

革新派の枢機卿

 

グレース・ハミルトン(ブリジット・フォンダ

ジャーナリスト、ヴィンセントのガールフレンド。

 

エンツォ(ガブリエル・トーレイ)

ゴッドファーザー」にも登場したパン屋。

 

【映画ゴッドファーザー PART III】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ

・マイケルの贖罪行為と神の不在

映画前半は、「PARTⅡ」で父の面影を追いけたコンプレックス、兄殺しによる罪の意識、日々の多大なストレスが蓄積することで、精神的に追い込まれ、肉体にも影響が及び糖尿病を患っている。

 

このままファミリーのドンを続けるには限界がみえはじめる。

 

後継者の候補として、ヴィンセントが現れるものの、血気盛んで理性が暴走しやすく、メアリーに接近する手の早さなど、マイケルはソニー譲りの血筋に困惑していたが、ファミリーを受け継ぐ者の器として可能性を感じ、側に置くこととする。

 

そのヴィンセント最大のみせ場は、ジョーイ・ザザ暗殺シーン。

 

冒頭から犬猿の仲であり、ホテルでの関連マフィア幹部会襲撃の報復として、「PARTⅡ」の若きヴィトー(ロバート・デ・ニーロ)を彷彿とさせる、祭りに乗じて、馬にまたがり、後始末をさっそうとこなす粋なシーンだ。

 

映画後半では、黒幕を暴くためバチカンに訪れたマイケル一行は、家族でつかぬまの休息を過ごす。

 

マイケルは、ランベルト枢機卿に懺悔を行うことで、贖罪行為に努め、これまでの苦悩から解放を試みる。

 

ついに、ドンの座をヴィンセントに跡を継ぐことになり、このまま救われることを夢みるマイケルであったが、ラストではさらなる悲劇が襲い、その後に孤独で静かな死が訪れる。

 

全てではないもののヴィトーとマイケルの円環構造がみられ、ひいてはコッポラ自身とソフィアにもその境遇は重なり、シリーズは完結する。

 

バチカンの金融スキャンダル

ローマ法王の在位わずか33日での急逝についての暗殺説と、アンブロシアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィ暗殺事件との関係である1970年代後半から1980年代にかけて、バチカンにおけるマフィア絡みの金融スキャンダルが明らかとなり、連鎖して起きた一連の事件が描かれる。

 

1978年、ローマ教皇に就任したヨハネ・パウロ1世がバチカン銀行の不透明な財政についての改革に乗り出し、当時総裁を務めていたマルチンクス大司教の更迭を決定後、在位わずか33日目に遺体で発見される。

 

1982年、マルチンクス大司教の下で起こったマネーロンダリングと多額の使途不明金の影響を受け、イタリアの取引銀行が破綻、複数の関係者が暗殺される。

 

それぞれのモデルは、ギルディ大司教バチカン銀行総裁ポール・マルチンクス、カインジックはアンブロジャーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィ、ルケージはP2創始者リチオ・ジェッリと元イタリア首相ジュリオ・アンドレオッティ、ランベルト枢機卿は元ローマ教皇ヨハネ・パウロ1世。

 

映画では、「ゴッドファーザー」同様、これらの事件をひっくるめた形で大粛清シーンをオペラとのカットバックで描く、クライマックス最大の見せ場となっている。

 

・バージョン違い

2020年、全米公開30周年を記念して製作された再編集版。 いくつものバージョン違いのあるコッポラ作品の中、もしかしたらこれが最後となるかもしれない新バージョン。

 

オリジナルネガからの4Kスキャンやデジタルレストア、新たなオープニング、エンディングシーン、音楽の追加などが行われ、格調高い第3作のマイケル仕様にマッチしている。

 

物語に大きな違いはないが、上映時間は約4分短くなり、冒頭の場面とエンディングに変更が加わっているので要注目。

 

特にいいのが、新オープニング。 この話が冒頭に来ることで、非常にわかりやすくなっていると思う。

 

エンディングについては、回想シーンやマイケルの最期がクールに変更されており、いまのところはオリジナルの方がいいとは思いつつ、トータルでは本バージョンに軍配があがる。

 

【映画ゴッドファーザー PART Ⅳ】幻の映画である第4作について

さいごに、ゴッドファーザーシリーズの第4作について触れておきたい。

 

制作については、「PARTIII」公開直後から企画案はあった。冒頭にも記載した通り空白の時代、ファミリーの黄金時代である30年代〜40年代を描くというもの。

 

ゴッドファーザー」の主要キャラクターが全員健在で、武勇伝が語られていたルカ・ブラージや、「PARTⅡ」のロバート・デ・ニーロが演じていた若きヴィトーたちによる血生臭さが漂う、ファミリーの隆盛が題材だ。

 

実際、「PARTⅡ」「PARTIII」の草稿時、プーゾは原作のヴィトーの若き時代を掘り進めたエピソードを執筆している。勢力拡大を図り、マランザーレとの抗争、賭博事業への進出、ニューヨーク5大ファミリーとの和平までをスポットに当てた。

 

しかし、「PARTIII」の成績が振るわなかったことで企画は停滞、決定的となったのは、マリオ・プーゾが1999年7月2日に心不全のため死去してしまったことで、生前に交わした「コッポラとプーゾのどちらかが死んでしまったら続編は作らない」という約束により、幻で終わってしまう。

 

まとめ

・【映画ゴッドファーザー PART III】14年の空白と実現化の背景

・【映画ゴッドファーザー PART III】史実ミックス

・【映画ゴッドファーザー PART III】第3作としての興行的・批評的な評価

・【映画ゴッドファーザー PART III】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

・【映画ゴッドファーザー PART III】作品概要

・【映画ゴッドファーザー PART III】登場する魅力的なキャラクター紹介

・【映画ゴッドファーザー PART III】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ

・【映画ゴッドファーザー PART Ⅳ】幻の映画である第4作について

 

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