ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

【映画ゴッドファーザー】何がそんなにすごいのか改めて検証してみる


今こそみるべき完璧な映画の魅力を徹底分析

コッポラ幻の映画であり続けた「メガロポリス」がついに制作され、今年のカンヌ映画祭に出品された。評判は賛否両論だが、絶対にみのがせない必見作であることは間違いない。劇場公開を待ち望んでいるこのタイミングこそ、世界中でコッポラの映画がみなおされているはず。そこで、今回は 「ゴッドファーザー」の何がすごいのか、映画の教科書とも言われるその所以について探ってみたい【永久保存版】。

 

目次

【映画ゴッドファーザー】25周年オフィシャルブック「ザ・ゴッドファーザー

どの業界でも経験値があがるほど、その凄さが改めてわかるというものがある。映画においては、まさに「ゴッドファーザー」が当てはまる。

 

ディスクの特典映像にもあるように、コッポラの原作研究用の分厚い研究ノートの製作過程からしてただならぬものを感じる。

 

脚本をマリオ・プーゾとコッポラが共同で仕上げ、映像化にあたり、天才撮影監督ゴードン・ウィルスと天才作曲家ニーノ・ロータ音楽により、画と音で語る最高峰の映画になっている。

 

キャスティングもコッポラが選び抜いた厳選された人選。

 

美術、特殊メイク、衣装デザイン、編集等細部に至るまで、どこからみても非の打ち所がない。

 

尚、今回取り扱う題材において、参考にさせて頂いたのが、ハーラン・リーボ著「ザ・ゴッドファーザー」。

 

こちらは、「ゴッドファーザー」公開から25周年にあたる1997年に3部作のオフィシャル・ガイドブックとして出版されたもの。約400ページもある膨大な研究書である。

 

さらに、50周年を記念して制作された傑作ドラマ「ジ・オファー」がある。

 

「ジ・オファー」をみることで、アルバート・S・ラディ、ロバート・エヴァンスたちのリアルタイムでの製作陣の視点や苦悩まで加わり、一層作品鑑賞に深みが加わった。

 

【映画ゴッドファーザー】50周年記念ドラマ「ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男」

その2022年に配信された「ゴッドファーザー」の制作過程を描いた、面白すぎるドラマである「ジ・オファー」で描かれていたことは今回除外したい。

 

「ジ・オファー」においても、ハーラン・リーボ著「ザ・ゴッドファーザー」を参考にして制作されていると思われるが、製作陣と現場でのいざこざ、キャスティング、原作、脚本、公開時などの舞台裏がたっぷりと描かれている。

 

映画はキャスティング9割が決まると言われているほど重要な要素。

 

原作から映画化における改訂作業、マフィアの干渉など、派手な部分はドラマで取り上げられている、肝の部分だ。

 

困難を極めたキャスティングもそれぞれがハマり役となっている。

 

出演者(キャラクター造形まで含む)のひとりひとりがもしあの俳優が演じていたら?というのはもはや考えられないが、すっかりハラハラしてしまう。

 

世界中の信者を虜にする傑作誕生秘話の海外ドラマなので、実際の葛藤などは映像でみることでより楽しめる。

 

ドラマ「ジ・オファー」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

しかし、それだけでは「ゴッドファーザー」の真の凄さというのは足りていない。

 

もちろん、原作、キャスティングや制作自体がドラマといった制作背景は大切な要素だが、その最後のピースがあってこそ。

 

その真の凄さとは、神は細部に宿るというが、「ゴッドファーザー」は細部まで味わい尽くす、ディティールに富んだ映画であること。

 

完璧主義者のコッポラがこだわりまくって全てをかけた映画には、強い思いが込められており、不朽の作品として君臨し続けている。

 

【映画ゴッドファーザー】娯楽と芸術として完璧、興行収入と評価を獲得

映画として、娯楽性、芸術性としてそれぞれ評価が高い作品は多い、そして記録的な興行収入を持つ作品も数多く存在する。

 

しかし、この両方を兼ね備えた映画はどうかとなると、かなり限られてしまう。

 

ゴッドファーザー」はそんな稀有な作品のひとつだ。

 

公開されるや当時の興行記録を塗り替える全米最高の興行収入をもたらした。

 

アカデミー賞の前哨戦であるゴールデングローブ賞では、 作品賞 (ドラマ部門)受賞、監督賞、主演男優賞 (ドラマ部門)、音楽賞、脚本賞、作曲賞を受賞。

 

アカデミー賞においては、作品賞、 監督賞、主演男優賞、 助演男優賞、 脚色賞、作曲賞、編集賞、録音賞、衣裳デザイン賞の9部門にノミネート。

 

そのうち作品賞・主演男優賞・脚色賞を受賞。

 

これらの偉業を達成した、という文字にするのは簡単だが、「ジ・オファー」をみればわかるように、映画が本当に完成するのかどうなのか、何度もひやひやした壮絶で過酷な現場であったのは、周知の通り。

 

その想像を絶する背景があったからこそ誕生したとも言える。

 

映画業界には、裏舞台の苦労が偉大な映画を生み出すという諺があり、「ゴッドファーザー」はそれをまさに体現している伝説の作品だ。

 

前置きがやや長くなったが、今回の記事のテーマである「ゴッドファーザー」の何がすごいのかということについて核心に迫る。

 

公式ガイドブック「ザ・ゴッドファーザー」に記録されている事実に基づいて、数々の逸話から抜粋したものを10個にまとめて紹介したい。

 

【映画ゴッドファーザー】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

【映画ゴッドファーザー】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

※画像の引用元:IMDb公式サイトより

 

・小説と映像の融合

原作では446ページの原作を、映画の脚本として第3稿の156ページまで切り詰め、小説では表現しにくく、映画史上では最も有名な完成度の高いシーンへと昇華させた。

 

もともと、監督兼脚本家として活動を志していたコッポラ。

 

冒頭でも触れた通り、ディスクの特典映像としても収録されているコッポラのゴッドファーザー研究ノートにびっしりと書き込まれた撮影用の道しるべがその精度を支えた。

 

ドラマ「ジ・オファー」では同じ部屋にこもり、共同作業としてこの脚本化するふたりの作業が仲睦まじく描かれていたが、実際には離れた場所でのやりとりであった。

 

マリオ・プーゾはロサンンゼルスもしくはニューヨーク、コッポラはサンフランシスコ。

 

コッポラは、原作が本当に伝えたかったであろうことを再認識した。

 

それは父と息子、権力と後継者の問題を描いた素晴らしい作品であると認めている一方で、映画化するにあたり、くだらないシーンの全カットに労力を注ぎ改訂作業を進めた。

 

また、生き生きとした登場人物たちが核となっている作品のため、キャスティングには妥協せず、パラマウント上層部との衝突を繰り返し、この描写は「ジ・オファー」に詳しい。

 

さらに、緻密な構成と現実世界の問題を織り交ぜるために世界観を構築するため、超一流のスタッフを揃えた。

 

これらを可能な限り撮影前にコントール化に揃えるために入念な下準備を行った。

 

この時、コッポラは32歳という若さだった。

 

・監督

コッポラは「ゴッドファーザー」の監督に抜擢された当時、「雨の中の女」を撮るのにハリウッドの古臭い慣習や体制から脱却した独立体制を築くため、自身の制作会社ゾエトロープを立ち上げたばかりで、資金難に陥っていた。

 

そこで、一度は断った企画だが、コッポラは「ゴッドファーザー」に全てを賭けた。

 

そんなコッポラが選んだ茨の道である、ニューヨークロケを敢行。

 

ニューヨークロケの弊害として、1971年の企画段階から遡った1940〜1950年代の舞台設定であること、高額となる予算の問題、イタリア系アメリカ人による抗議運動があった。

 

これらの問題が複合的に絡み、時間と制作費はどんどん予定通り進めなくなった。当然人間関係もギクシャクする。

 

そんな四面楚歌のような状態が続き、あのコッポラですら自身喪失に陥り、こんな不満を現場で漏らしたという。

 

「君はこれでもまだ映画を監督したいと思うか?もし監督するなら3つのことを憶えてておくんだ。」

 

「まず、撮影をはじめる前に脚本を完成させ、変更はつきものだが、最小限に抑えること。」

 

「次に、心から信頼できるスタッフと働くこと。これまでともに働いてきた優秀なスタッフを覚えておいて、彼らを君の映画で使うんだ。」

 

「最後は、俳優を安心させていい演技を引き出すことだ。」

 

そして次の言葉で締めくくった「私は、この映画ではどれひとつ実現できなかったよ。」

 

制作のアルバート・ラディはのちにこう回想する、「実際には、衝突があったものの、コッポラは周囲の力を最大限に引き出していた。」

 

やがて制作チームはコッポラを中心に団結し、マーロン・ブランドはトラブルがありつつも本領を発揮、アル・パチーノも不安視されていたがマイケル役を確立した。

 

脚本で解決されていなかった問題点である、権力が継承されるシーンも含めて、完成させることになる。

 

スクリプト・ドクター

撮影当時、コッポラを悩ませていた権力の継承を表すシーンは、重要な部分にも関わらず、登場人物の関係性の表現に、満足していなかった。

 

そこで、コッポラは第三者に協力を求めた。かつての仲間で、当時ハウリッドで最も優れたスクリプト・ドクター(製作におけるあらゆる段階で脚本の手直しを請け負う)の存在だ。

 

俺たちに明日はない」などの改訂での成功で知られているスクリプト・ドクターロバート・タウンである。

 

のちに「チャイナタイン」の脚本でアカデミー賞を受賞するなどの脚本として名を馳せた。

 

もちろん、それも「ゴッドファーザー」でのこのシーンを作り上げた功績が大きく影響している。

 

そのロバート・タウンによる修正により、映画史上最も印象的な場面として知られるようになった。

 

脚本にするとわずか約3ページ、時間はわずか4分弱にも関わらず、感動的な名場面に仕立て上げた。

 

それも「ゴッドファーザー」ではノンクレジットでだ。

 

しかし、その功績の大きさは忘れられることはなく、アカデミー賞作品賞でのノミネートされた時に流れた映像として知られ、脚本賞を受賞した時にコッポラはスピーチで賛辞を述べている。

 

・撮影

撮影を手掛けたゴードン・ウィリスはコッポラと何度も衝突を繰り返し、あのゴッドファーザー的といえるルックを創り上げた。

 

つまり、40年代ニューヨークの空気感を再現し、ファミリーの悪のイメージを捉えた、映像設計された格調の高い画作り。


ゴールデン・アンバーと知られる淡い琥珀色のカラーバランスで統一されている。

 

また、最新機材を用いず、固定カメラにより、ズームやパンなどカメラの動きは極力使用せずに撮影することも徹底されている。

 

ライティングもかなり抑えられており、黒い画面の中で全てがギリギリ写っている(俳優の目すらギリギリ)という、ファミリーの本質に迫る映像化は見事としか言いようがない。


映画のオープニングから、屋外の結婚式と室内での葬儀屋の男とのやりとりという対比がより際立っている。

 

この秘訣は、「マスターズ・オブ・ライト/アメリカン・シネマの撮影監督たち」で解説されている通り、照明と露出の特性を徹底的にテストし、試行錯誤を積み重ねて最適解を導き出すのが特徴的。


その結果、通常の撮影では、暗く潰れてしまうはずのディティールが見事に写し取られている。


実際には、カメラに映らない部分などに光源を仕込んでいて、暗部が暗く潰れず、明るい部分が白く飛ぶことのない、離れ業につながっている。

 

・美術

プロダクション・デザインを手掛けたのがコッポラの右腕とも称されたディーン・タポラリス

 

ポラリスは、デザイナーとして、セットの設計・ロケ地・衣装・小道具など映像に映る全てを統括する存在。

 

ゴッドファーザー」ではじめてコッポラ作品に参加し、以降「ゴッドファーザー」3部作全てのデザインを手掛け、「地獄の黙示録」などにも携わっている。

 

20世紀半ばのニューヨークの町並みを再現するのに大変な労力をかけてデザインされ、その中で事件が起きる前兆として、ゴードン・ウィリスが作った黒い画面に映える、小道具のオレンジが効果的に使用されていることは有名だ。

 

このこだわりは映画内の時が進むごとに変化させる必要があるため、1945年からはじまり1955年として幕が閉じるまでの約10年分の期間の再現が必要となった。

 

このことは敷地内で収まるだけではなく、最終的にはニューヨーク市に全面的に協力してもらい撮影するという規模の大きいものとなった。

 

映画の視覚的な要素は、監督・撮影・プロダクション・デザイナーの協力があって初めて実現される。

 

そのため、制作が進むにつれ、この三者間でさまざまなディティールを詰めて行く必要があった。

 

・特殊メイク

マーロン・ブランドがヴィトー・コルレオーネを演じた時は、47歳であったが、老けてみえるのは、ディック・スミスのメイクの賜。

 

実際に年齢を重ねたようにみせるため、毎回撮影前にメイクにかなりの時間が割かれ、また映画が進むにつれ、微妙な変化が加わっているという細かい

 

このマジックが使用されたことで、マーロン・ブランドの変身は撮影中も話題となり、極秘事項となったほど完成度は高い。

 

コッポラがディック・スミスを指名したのは、当時メイクアップアーティストとして、メイク技術を革新したことで有名だったためで、以降もその道の第一人者として君臨し続け、特殊メイクの神様の異名がある。

 

代表作に、「エクソシスト」「ゴッドファーザー PART II 」「タクシードライバー」「エクソシスト2」「ディア・ハンター」「アマデウス 」など。

 

ディック・スミスの弟子として、リック・ベイカー辻一弘らが知られている。

 

・衣装デザイン

衣装デザイナーを務めたアンナ・ヒル・ジョンストンにより、ここでも1940年代の再現が行われた。

 

タキシード、スーツ、ドレス、カジュアルな服、装飾品に至るまで小道具と同様に、細かい正確性が求められた。

 

それは、わずかにしか映らないマイケルが着用していた軍服の帽子で使用されている刺繍にまで細かい指示が行き届いていた。

 

特に印象に残るのヴィトーが着用している衣装。

 

底知れぬ力を持ちながら、服装にまったく気を遣わない人物としてヴィトーの衣装をデザインしたとされているように、状況により変化がみられる。

 

結婚式でのタキシード、ビジネス時のスーツ、引退後の普段着、そして5大ファミリーとの会合では権力を誇示する最高級に仕立てたスーツが選ばれている。

 

・音楽

ニーノ・ロータが作曲した数々の大名曲は今では伝説の部類だし大巨匠の扱いだが、コッポラが意向を示したその人選も当時は製作陣から難色を示されていた。

 

ニーノ・ロータは当時、フェリーニの映画音楽でヨーロッパでは人気を博していたが、アメリカでは認知度が高くなかった。

 

制作のロバート・エヴァンスが代わりにプッシュしたのが、ヘンリー・マンシーニだ。

 

この意見の対立についてもコッポラは一歩も譲ろうとはせず、代替え案として、試写の反応をみて決めよう。反対意見が多ければ、変更して構わないということになった。

 

いざ蓋を開けてみれば、ニーノ・ロータの音楽は大絶賛の嵐で、全編を彩ったり、緊張感を与えたり、効果的に使用される数々の曲は不動のものとなった。

 

今となっては、この音楽なしの「ゴッドファーザー」は考えられないのだが、この選択についても大きな騒動があった。

 

ニーノ・ロータは、物語や人間関係が複雑化する作品において、映像と音楽の衝突を避けるために、シチリア民族音楽の哀愁と甘美が漂う旋律を取り入れた。

 

特に、「ゴッドファーザーワルツ」や「愛のテーマ」で繰り返される徐々的なメロディーを効果的に用いることで、いつまでも耳に残り、映像と共に深く記憶に刻まれる作品に仕上げた。

 

また、ニーノ・ロータ作曲以外にも、コニーの結婚式で用いられるアル・マルチィーノが歌う「ただひとつの心」や、カーマイン・コッポラが作曲したダンスシーンでのイタリア風のワルツなど、その他にもクラシック曲が使われている。

 

・録音

映画を成功させる大切な要素のひとつとして録音があり、「ゴッドファーザー」での録音は、クリストファー・ニューマン、 リチャード・ポートマン、 バド・グレンツバックが担当した。

 

ゴッドファーザー」では細かい音の演出が無数にあるが、マイケルがある変貌を遂げるシーンにおいて、最も効果的に不安を煽るように、巧みに表現され、臨場感を与えている。

 

それは、マイケルがブロンクスのレストランで揺れる心の動きと、どこからか聞こえてくる高架鉄道の車輪が軋む音が連動して表現されていること。

 

恐怖心を際立たせるように、その轟音とブレーキ音は次第に大きくなり、決行を迎える不安を巧みに表している名場面だ。

 

他にも、ストーリーを支える背景となる音楽に満ち溢れている。例えば次の通り。

 

冒頭、葬儀屋のボナセラがヴィトーを訪ねてくるシーンで、書斎のドアを開くと、結婚パーティーのために使用する楽器の音。

 

リトルイタリーにおいて、ある銃撃シーンでは、人々の声、道路の車の音、トランペットを練習する音。

 

マイケルが病院の前で暗殺者たちを追い払う時、遠くで雷が轟き、その後あるキャラクターの登場を暗示する際に使用される音。

 

これらのシーンでメインとなる音以外に、さまざまな臨場音をミキシングして使用することで、効果的なシーンの数々を音での演出の付加に成功している例だ。

 

・編集

映画の完成を前に、最後の問題が持ち上がることになる、それは映画の長さだ。

 

コッポラたちが撮影した素材は、約90時間以上の映画ができるだけの情報量があった。

 

編集に関わったのは、ウィリアム・レイノルズ、ピーター・ジンナーだが、ここでも映画を短くしたいパラマウントと適切な長さで仕上げたいコッポラが折り合うことはない。

 

約3時間の2時間55分という長さを持つ作品だが、パラマウント側の要求は2時間20分。

 

これは契約時に、最終的な上映時間を2時間30分にする、出来なければパラマウント側がファイナルカット件を有する、という条項に基づくものであった。

 

そのため、実際に2時間30分のバージョンが作られたが、より長く感じてしまうということで没になり、めでたくオリジナルの長さに納まった。

 

この編集作業は5ヶ月を要し、当初1971年のクリスマス公開を予定していたが、度重なるにトラブルに見舞われたため公開は延期となり、1972年3月15日にプレミア試写会の初日を華々しく迎えることとなった。

 

【映画ゴッドファーザー】作品概要

1945年、終戦直後のニューヨーク。夏の陽射しが眩しいコルレオーネの屋敷で行われている娘の結婚式からこの物語ははじまる。

 

イタリア系アメリカ人のファミリーの長であるヴィトー・コルレオーネは、マフィアの世界で最大の勢力を誇っていた。

 

壮大なファミリードラマは、抗争が激化する中で、重厚なタッチで綴られ、緻密で複雑な人間描写等々、語り尽くせない映画の魅力が詰まっている。

 

監督 フランシス・フォード・コッポラ

脚本 マリオ・プーゾ

   フランシス・フォード・コッポラ

原作 マリオ・プーゾ

製作 アルバート・S・ラディ

公開 1972年3月24日

時間 177分

 

スタッフ

撮影 ゴードン・ウィリス

美術 ディーン・タポラリス

特殊 メイク ディック・スミス

衣装 アンナ・ヒル・ジョンストン

音楽 ニーノ・ロータ

録音 クリストファー・ニューマン

  リチャード・ポートマン

  バド・グレンツバック

編集 ウィリアム・レイノルズ

  ピーター・ジンナー

 

【映画ゴッドファーザー】登場する魅力的なキャラクター紹介

コルレオーネ・ファミリー

ヴィトー・コルレオーネ( マーロン・ブランド

ニューヨーク5大ファミリー・コルレオーネ家のドン。

 

ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン

ヴィトーの長男。

 

フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール

同次男。

 

マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ

同三男。

 

トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル

ヴィトーの養子かつ組織の顧問・相談役。

 

コニー・コルレオーネ・リッツィ(タリア・シャイア

ヴィトーの娘。

 

カルロ・リッツィ(ジャンニ・ルッソ)

コニーの夫。

 

ケイ・アダムス・コルレオーネ( ダイアン・キートン

マイケルのガールフレンド。

 

カルメラ・コルレオーネ(モーガナ・キング)

ヴィトーの妻。

 

サンドラ・コルレオーネ(ジュリー・グレッグ)

ソニーの妻。

 

テレサ・ヘイゲン(テレ・リヴラーノ)

トム・ヘイゲンの妻。

 

コルレオーネ・ファミリーの幹部と構成員

ピーター・クレメンザ(リチャード・カステラーノ

ファミリーの幹部。

 

サルバトーレ・テシオ(エイブ・ヴィゴダヴィト)

同幹部。

 

ルカ・ブラージ(レニー・モンタナ)

ファミリーの殺し屋。

 

ポーリー・ガットー(ジョン・マルティーノ)

クレメンザの部下。

 

ウィリー・チッチ(ジョー・スピネル)

同部下。

 

ロッコ・ランポーネ(トム・ロスキー)

同部下。

 

アルベルト・ネリ(リチャード・ブライト)

マイケルが見出した殺し屋。

 

カロ(フランコ・チッティ)

シチリアに住むマイケルのボディーガード。

 

ニューヨーク5大ファミリーとその関係者

エミリオ・バルジーニ(リチャード・コンテ

5大ファミリーのうち、コルレオーネに継ぐ勢力を誇る、バルジーニ家のドン。

 

フィリップ・タッタリア(ビクター・レンディナ)

5大ファミリーのうち、麻薬取引をヴィトーに持ちかける、タッタリア家のドン。

 

ブルーノ・タッタリア(トニー・ジョルジオ)

フィリップの息子。

 

バージル・ソロッツォ(アル・レッティエリ

トルコ人のギャング、麻薬密売人。

 

マール・マクラスキー警部(スターリング・ヘイドン

ニューヨーク市警の警部。

 

カーメン・クネオ(ルディ・ボンド)

5大ファミリーの一角だが特に関わりはない、クネオ家のドン。

 

ビクター・ストラキ(ドン・コステロ

5大ファミリーのうち最弱、ストラキ・ファミリーのドン。

 

モー・グリーン(アレックス・ロッコ) 

ラスベガスのカジノ王。

 

その他キャラクター

ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)

フランク・シナトラがモデルの若手人気歌手。

 

アポロニア・ヴィテッリ・コルレオーネ(シモネッタ・ステファネッリ)

シチリアでマイケルが一目惚れするギリシャ系の女性。

 

ルーシー・マンシーニ(ジニー・リネロ)

コニーの親友、ソニーの愛人。

 

エンツォ(ガブリエル・トーレイ)

パン屋。

 

【映画ゴッドファーザー】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ

・原作と映画の違い

コッポラが原作を読んで下品な描写が目についたため、最後まで読まずにオファーを受けなかったと記されているが、そう言った描写はほぼカットされている。

 

また、小説と映画とは尺が違うため、キャラクターの過去の描写なども大幅にカットされているし、登場しない人物もいる(初代相談役のジェンコ・アッバンダンド など)。

 

そして、ラストの結末を含め、見せ方の問題などで物語構成の順番が異なる。例えば、5大ファミリーの会合やマイケルのシチリア島のシーンなど。

 

・マイケルの変貌

マイケルというキャラクターに秘められた真の姿が覚醒する瞬間でもあり、それはアル・パチーノにおいても重なるところであった。

 

ディスクの映像特典でもコッポラが腕の見せ所と語っている通り、ここは絶対に失敗できないシーンであり、かなり気合の入った映画史に刻まれる名場面。

 

コッポラがアル・パチーノを何とか推しきってマイケル役に決まったものの、その後も制作・現場側はアル・パチーノに不信感を抱いていた。

 

そこで、コッポラとアル・パチーノは、このシーンの撮影を先取りし、その折り紙つきの実力を認めさせるという快挙を見事に成し遂げた。

 

以降、アル・パチーノに誰も文句を言わなくなったとされる語り草となっている。

 

・権力の継承

映画終盤、引退したヴィトーとマイケルが、ヴィトーが亡くなる前の最後に語り合う重要な場面。

 

原作通りに脚本化では、世代交代が十分に継承されていないとわかっていたものの、忙殺されていたコッポラに納得できる推敲の余裕は残されていなかった。

 

そこで、スクリプト・ドクターロバート・タウンは、マーロン・ブラウンとアル・パチーノ両者路も打ち合わせ、元の脚本から大胆な修正を行った。

 

その両者を比べてみると、オリジナルの方はかなり情報量が少なくなっているのがわかる。

 

ロバート・タウンの意図としては、本作においては沈黙が映画内で重要な役割を果たしている。それなのに、元の脚本では言葉での説明が多くなり過ぎていたと指摘。

 

説明しなくても想いが伝わる、という形で書き変えられた結果、その試みは大成功であった。

 

・一大暗殺劇 

映画ではラスト近くの神聖な洗礼式の合間に、殺戮の見事なカットバックによる一大暗殺劇が繰り広げられる。

 

終盤の見せ場があるが、これも原作にはないオリジナル。

 

この見事な対比表現により、映画史上最も有名で完成度も高いシーンにひとつに数えられることも多い。

 

原作では順番に粛清されるが、プーゾとコッポラの改訂作業中に思いついたアイデアで、小説では機能せず、映画ならではの表現であると語っている。

 

尚、原作では殺されないキャラクターも含めてひとまとめにして、葬り去っている。

 

・マイケル造の完成と組織立て直し達成

本作が大ヒット・大絶賛されつつも、マフィアを魅力的に描き過ぎている、という批判的な声があるのも事実。

 

ゴッドファーザー」に登場するアンチヒーローたちを誕生させた。特に、マイケル・コルレオーネという名のキャラクターは永遠だ。

 

普通の大学生から一連の試練を乗り越え、権力とカリスマ性を兼ね備えたファミリーのドンに成るという小説から映画の脚本として再構築された中での焦点となっている。

 

権力が継承されていく過程でも、着々と水面下で準備を進めていったマイケルは、時を待ってついに裏切り者や邪魔者を消し去るという計画を実行に移し、その実像が完成する。

 

さいごに、後世にも影響を与え続け、今尚たびたびみうけられるドア閉まりエンディングで本作は幕を閉じる。

 

「PARTII」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

「PARTⅢ」についてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

まとめ

・【映画ゴッドファーザー】25周年オフィシャルブック「ザ・ゴッドファーザー

・【映画ゴッドファーザー】50周年記念ドラマ「ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男」

・【映画ゴッドファーザー】娯楽と芸術として完璧、興行収入と評価を獲得

・【映画ゴッドファーザー】何がすごいのか最低限知っておきたい10のこと

・【映画ゴッドファーザー】作品概要

・【映画ゴッドファーザー】登場する魅力的なキャラクター紹介

・【映画ゴッドファーザー】名場面ハイライト(評価・解説・考察)ネタバレ

 

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