制作50周年記念!世界中の信者を虜にする傑作誕生秘話
今年は「ゴッドファーザー」50周年記念で、みなおしている人も多いはず。そこで満を持して登場をしたのが本作だ。「ゴッドファーザー」は、言わずと知れた不屈の名作とされているが、実はリアルタイムでの製作過程はてんやわんやの連続。考えてみれば、世紀の大傑作である誕生秘話は紆余曲折があって然るべきで、その過程を制作したドラマなんて・・・面白いに決まっている!今回はそんな舞台裏を紐解いてみたい【永久保存版】。
目次
- 海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】のキャスト紹介
- 海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】あらすじ・ネタバレ(実話・実在・実録)
- 海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
- 海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】の作品概要
- まとめ
海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】のキャスト紹介
メインキャラクター
※画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)
「ゴッドファーザー」のプロデューサーにして本作の主人公。
1970年「お前と俺」・1971年「知りすぎた17才」の制作を評価され、「ゴッドファーザー」の製作を任される。
持ち前の野心、度量の大きさ、ハッタリ、機転のよさはピカイチ。
本作では、海千山千の集まりであるハリウッドの映画人たちをまとめ、世紀の映画を完成させたその仕事ぶりを堪能することができる。
演じるのは、現在のりにのっているマイルズ・テラー。
マイルズ・テラーの代表作
・「セッション」
・「オンリー・ザ・ブレイブ」
・「スパイダーヘッド」
・「トップガン マーヴェリック」
ロバート・エヴァンス(キャスト:マシュー・グード)
パラマウント映画のトッププロデューサー、ラディの上司。
作品内でも神様より顔が広いと紹介される、超有名人。
仕事ができて、チャラチャラしたモテ男、その派手な生活が災いして、ある事件をきっかけに精神が不安定になる。
しかしなんだかんだ映画愛に溢れている憎めない男。
もともとエヴァンスは売れない俳優だったため、制作サイドに転向。
当時のパラマウントは財政状態は悪く、興行的に失敗続きだったが、1968年「ローズマリーの赤ちゃん」、1970年「ある愛の詩」を大ヒットさせる。
次なる大作映画として「ゴッドファーザー」に狙いを定め、ラディたちとの制作に携わる。
マシュー・グードの代表作
・「ウォッチメン」
・「シングルマン」
・「マリアンヌ」
・「キングスマン:ファースト・エージェント」
ベティ・マッカート(キャスト:ジュノー・テンプル)
ラディの秘書。
美貌、頭のキレ、行動力、男を手玉に取る手腕に長けているやり手のビジネスウーマン。
彼女にしかできない仕事も多く、映画制作について影の功労者。
ジュノー・テンプルの代表作
・「キラー・スナイパー」
・「女と男の観覧車」
マリオ・プーゾ(キャスト:パトリック・ギャロ)
「ゴッドファーザー」の原作者・脚本家。
生粋のニューヨーカー、コロンビア大学卒業後、1955年長編処女作「暗い闘技場」、1965年「幸運な放浪者」を発表。
1969年に出版した「ゴッドファーザー」が出版史上に残る歴史的なベストセラーになり、映画化も決まり、脚本の仕事に精を込める。
コッポラとの共同執筆により脚本を仕上げる。
パトリック・ギャロの代表作
・「アイリッシュマン 」
フランシス・フォード・コッポラ(キャスト:ダン・フォグラー)
言わずとしれた「ゴッドファーザー」の監督・巨匠だが、この頃はまだ若く、「ゴッドファーザー」を撮ったのは若干33歳。
1969年「雨のなかの女」でセバスチャン映画祭グランプリを受賞、1970年「パットン大戦者軍団」でアカデミー脚本賞を獲得し、「ゴッドファーザー」に大抜擢される。
あの重厚な映画からは想像し難いほど、現場は大混乱だったことがよくわか理、製作サイドのパラマウントとは何度も衝突する。
脚本ではマリオ・プーゾと共同脚本に徒労し、希望するキャスティングは難航し、撮影は泥沼化。
徹底したアート志向で、妥協を許さないスタンス、超一流のクリエイター像が本作ではみてとれる。
その介もあり、本作以後は箔がつきまくり、推しも押されぬ希代の映画作家となる。
ダン・フォグラーの代表作
・「ファンタスティック・ビースト」シリーズ
ジョゼフ・コロンボ(キャスト:ジョヴァンニ・リビシ)
ニューヨーク5大マフィアのファミリー。そのひとつであるコロンボ犯罪組織のボス。
イタリア移民についての描写に問題があるとして、原作「ゴッドファーザー」を嫌っており、当初は映画化を反対していた。
しかし、ラディの映画化への情熱に賛同し、映画化に協力するようになる。
裏の権力を駆使して、横槍を抑えつつ、映画製作に関わる。
ジョヴァンニ・リビシの代表作
・「アバター」
・「グローリー/明日への行進」
パラマウント他映画会社
・チャールズ・ブルードーン(キャスト:バーン・ゴーマン)
パラマウントの親会社ガルフ&ウェスタンのオーナー(パラマウントの会長)。
創業者らしいワンマン気質で、利益重視だが、話せばわかる映画愛もあり、どこか憎めない愛されキャラ。
バーン・ゴーマンの代表作
・バリー・ラピドス(キャスト:コリン・ハンクス)
ガルフ&ウェスタンの幹部。
スタンダード・ステレオタイプな作風の映画作りを好むため、コッポラたちとは度々衝突する。
ラピドスを演じるコリン・ハンクスは、トム・ハンクスの実子。
コリン・ハンクスの代表作
・「オレンジカウンティ」
・「キング・コング」
・アンドレア・イーストマン: (キャスト:ステファニー・ケーニッヒ)
配役担当
ゴッドファーザーのスタッフ
・ゴードン・ウィリス(キャスト:T・J・サイン)
撮影監督のゴードン・ウィリスは、超絶技巧には他の追随を許さない孤高の存在。
「ゴッドファーザー」では、通常の撮影では暗くて黒く潰れてしまうであろうはずのディティールが豊かに写っているという信じがたい画を実現させるなど離れ業をやってのけている。
その一部の撮影秘話が本作でみることができる。
ゴードン・ウィリスの代表作
・「ゴッドファーザー」
・「ゴッドファーザー PART II」
・「大統領の陰謀」
・「ゴッドファーザー PART III 」
ゴッドファーザーのキャスト
・マーロン・ブランド(キャスト:ジャスティン・チェンバース)
ヴィトー役の俳優
マーロン・ブランドは、1950年スタンリー・クレイマーの「男たち」で映画デビュー。
1951年エリア・カザンの「欲望という名の列車」での役柄により地位を固め、圧倒的な成功を収める。
1952「革命児サバタ」でカンヌ男優賞、1954年「波止場」でアカデミー男優賞、1960年「片目のジャック」では監督も務める。
映画界のトップスターに躍り出るが、「ゴッドファーザー」製作時にはトラブルメーカーとしても問題視されていた時期である。
プーゾ・コッポラからはヴィトー役はマーロン・ブランドしかいないと推しを受けるが、スタジオ上層部からは難色を示される。
マイケル役の俳優
アル・パチーノは元来、舞台の役者。
1968年「ブロンクスを求めるインディアン」でオフ・ロードウェイの最優賞であるオビー賞を獲得、翌年ブロードウェイに進出し「虎はネクタイをするか?」でトニー賞を受賞。
アクターズ・スクールで学んだ演技力が開花し、1971年「哀しみの街かど」で映画デビュー。
この作品での出来が高く評価され、またシチリア系をルーツに持つアル・パチーノだというコッポラからのアツいラブコールにより、マイケル役という大役に推薦される。
しかし大作映画の主役級の役者としては、無名俳優であり、小柄なアル・パチーノに対し、スタジオ上層部から反対され、ロバート・レッドフォードを起用するように促される。
・ジェームズ・カーン(写真:中右 キャスト:ダミアン・コンラッド=デイビス)
ソニー役の俳優
コルレオーネ・ファミリーの長男。
街のプリンスと呼ばれたプレイボーイ、やりたい放題の暴れん坊だが、情にアツい伊達男。
理性よりも自分の感情に振り回されてしまうハマリ役をジェームズ・カーンが演じた。
ジェームズ・カーンは、テレビシリーズの「アンタッチャブル」などで活躍し、ハワード・ホークスの1966年「エル・ドラド」、コッポラの1969年「雨のなかの女」に出演。
「ゴッドファーザー」ではアカデミー賞助演男優賞にノミネート。
・ジョン・カザール(写真:中左 キャスト:ニック・プポ)
フレド役の俳優
コルレオーネ・ファミリーの次男。
おそらく生まれる場所を間違ってしまい、ソニーとマイケルに挟まれ、終始生きずらさに囚われていた気のいいダメ次男坊。
コルレオーネ家に生まれなけさえすれば、もっと幸せな人生を歩めたはず。そんなフレド役には、この人しか考えられないジョン・カザールがキャスティング。
その後も1973年「カンバセーション…盗聴…」、 1974年「ゴッドファーザー PART II」、 1975年「狼たちの午後」、1978年 「ディア・ハンター」といった堂々たるフィルモグラフィーだが、若くして病死してしまう。
生きていればおそらくかなりの大物俳優になったであろう偉大なる逸材。
・タリア・シャイア(写真:左 キャスト:シンシア・アイリーン・ストラハン)
コニー役の女優
コルレオーネ・ファミリーの第4子で長女。
ソニーが連れてきたカルロと結ばれるが、DVに悩まされ、幸せな結婚生活ではなかった。
タリア・シャイアは、父カーマイン・コッポラ、F.F.コッポラの妹。
のちに、「ゴッドファーザー」シリーズ、「ロッキーシリーズ」で有名な大女優となる。
「ゴッドファーザー PARTII」アカデミー助演女優賞ノミネート、「ロッキー」アカデミー主演女優賞ノミネート。
トム・ヘイゲン役の俳優
コルレオーネ・ファミリーの養子だが、相談役でもある顧問弁護士。
1968年「ブリット」、1969年「雨のなかの女」、1970年「マッシュ」でのバイプレイヤー、1971年「THX1138」のような実験的な作品での主演。
のちに1979年「地獄の黙示録」ではキルゴア中佐という映画史に残るキャラクターを熱演。
「ゴッドファーザー」ではアカデミー賞助演男優賞にノミネート。
・ダイアン・キートン(キャスト:マヤ・バトラー)
ケイト役の女優
マイケルの大学生からの恋人で、マイケルがシチリアに亡命していた時に音信不通となり焦っていたが、のちにマイケル2番目の妻となる。
ダイアン・キートンは、1970年「ふたりの誓い」で映画デビュー。1972年「ボギー!俺も男だ」、1973年「スリーパー」などウッディ・アレン作品に多く出演。
1977年「アニー・ホール」でアカデミー主演女優賞を受賞。
・ジャンニ・ルッソ(キャスト:ブランデン・ウィリアムズ)
カルロ・リッジ役の俳優
コニーと結婚し、コルレオーネ・ファミリーの養子となる。
ファミリーの仕事に就きたかったが信用されず、その怒りの矛先がコニーに向かう。
激怒したソニーから手痛いお説教を喰らうシーンが本作でも描かれる。
「ゴッドファーザー」以後も映画に出演するも大成せず。
・レニー・モンタナ(キャスト:ルー・フェリグノ)
コロンボファミリーの一員。ルカ・ブラージ役の俳優
コルレオーネ・ファミリーのヒットマンで、ヴィトーが信用を置き直属にしていたほど重宝された。
ヴィトーが交渉時には非常に大柄なルカ・ブラージを連れて行き話をまとめたり、荒っぽい仕事を任されていた。
実際のコロンボファミリーであったレニー・モンタナが、ルカ・ブラージ役にキャスティングされる経緯が本作で描かれる。
ゲスト
アリ・マッグローは、1968年「ボディガード」で映画デビュー。
1969年「グッドバイ、コロンバス」で注目を集め、同年にエヴァンスと結婚。
1970年「ある愛の詩」でライアン・オニールと共演し、アカデミー主演女優賞にノミネート。
わずか3本の映画に出演した後、1972年「ゲッタウェイ」でスティーブ・マックイーンと共演し、事件が起きる。
・フランソワーズ・グレイザー(キャスト:ノラ・アルネゼデール)
ホテルの経営者、アルバート・S・ラディの彼女
クラブの設計士、アルバート・S・ラディの彼女
・フランク・シナトラ(キャスト:フランク・ジョン・ヒューズ)
「ゴッドファーザー」でジョニー役のモデルとされている
「ある愛の詩」の監督
・ロバート・レッドフォード(キャスト:ビリー・マグヌッセン)
俳優
・バート・レイノルズ(キャスト:ブランドン・スクレナー)
俳優
ギャング・マフィア
・ジョーイ・ギャロ(キャスト:ジョセフ・ルッソ)
ニューヨーク5大ファミリー。そのひとつプロファチファミリーのメンバー。
クレイジー・ジョーという異名を持つ実在のギャングで、2019年「アイリッシュマン 」にも登場する。
本作において、「ゴッドファーザー」制作に絡み、コロンボとの対立は見応えのあるサブストーリーだ。
・ミッキー・コーエン(キャスト:ルイス・マンディロア)
ロサンゼルスのギャング
海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】あらすじ・ネタバレ(実話・実在・実録)
配信 2022年7月15日(U-NEXT独占配信)
時間 エピソード10話
エピソードタイトル
EP1 空席
EP2 警告
EP3 フェードイン
EP4ドンピシャな黄色
EP5 忠誠の誓い
EP6 誠実な男
EP7 ミスター・プロデューサー
EP8 越えてはならない一線
EP9 俺たちの生き方
EP10 アタマとタマ
1.アルバート S. ラディは、パラマウント映画の制作責任者であるロバート・エヴァンスに、自身を映画プロデューサーとして売り込む。
ラディの秘書として、ベティがサポートすることになる。
売れずに苦労している作家であったマリオ・プーゾだったが、「ゴッドファーザー」がベストセラーとなり、パラマウントから映画化のオファーまで受ける。
しかし、イタリア系アメリカ人のコミュニティからは、否定的に批判的に受け止められ、特にニューヨーク5大ファミリーの長のひとりであるジョー・コロンボは、イタリア系アメリカ人公民権連盟を設立し、原作や映画化を否定する。
ラディは、プーゾと共にフランシス・フォード・コッポラに共同脚本を依頼し、コッポラは監督も務めることになる。
2.ラディは、コロンボからの継続的な脅迫、予算を低く抑えるため、衝突するキャスティングなど複数の問題に対処。
ラディは「マフィア」という言葉が台本から削除されることを約束するなど熱意のある対応により、コロンボは映画が作られることに同意して協力してくれるようになる。
コロンボはジョー・ギャロの刑務所からの釈放をめぐって争う。
紆余曲折の果てに、ヴィトーはマーロン・ブランド、マイケルはアル・パチーノが演じることになる。
制作開始を記念して、コルレオーネファミリーとコッポラはディナーに集まり、キャラクターになりきるリハーサルで、パフォーマンスを繰り広げる。
3.ガルフ&ウェスタンがコロンボとの癒着しているニュースが、チャリーとエヴァンスに届き、ラディを解雇するよう促される。
ベティはその足でコロンボに会いに行き、話をつけることで、その介あって、ラディは制作に復活する。
ルディはコロンボとさらに絆を深めるが、コロンボがギャロの部下に銃撃されてしまう。
エヴァンスとアリ・マッグローの結婚生活が終焉を迎え、これを機にエヴァンスはビジネスへの集中力を欠いてしまい、制作現場から足が遠く。
4.コロンボが入院している間に、ギャロから大金を請求されてしまい、打つ手がなくなったラディはシチリア島での撮影費をこれに充てようとする。
しかし、その直前にギャロはコロンボへの攻撃に対する報復として、射殺される。
これにより、シチリアロケが敢行されることとなる。
エヴァンスが現場復帰出来ないため、ラピドスに職務を引き継ぎ、マーケティング会議ですったもんだしている最中、エヴァンスが戻ってくる。
そして、ついに映画は完成し、批評的かつ商業的に成功を収め、アカデミー賞で複数のノミネートがされ、主演男優賞・脚色賞・作品賞を獲得。
「ゴッドファーザー PARTII 」の製作に乗り出している中、ルディはエヴァンスに、「ロンゲスト・ヤード」を作成するため続編には参加しないことを伝え、エヴァンスはこれを許可する。
海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
名場面ランキングトップテン10
本作の面白さと言えば、映画「ゴッドファーザー」が好きなら誰もが一度は聞きかじったことのある、断片的な逸話の数々がひとつにつながる、これに尽きると思う。
特に、ワタクシのようなリアルタイム鑑賞ではない若輩者世代には余計にそうで、鑑賞中は何度も痺れてしまった。
「これがそうだったのかー!」、「あれは本当だったのかー!」など何度も唸らされた。
また、繰り返しになるが、本作では映画の再現シーンはほとんどなく、あくまで製作・裏方目線に徹しているので、そういったエピソードが中心となる。
ということで、今回はランキング形式で、名場面トップ10を発表してみたい。
10位 キャスティングに関するいざこざ
ロバート・レッドフォード、ジャック・ニコルソンへのオファー。
マーロン・ブランドがヴィトーになるために靴墨で髪を染めてなりきる。
アル・パチーノの正式出演オファーをぐずぐずしている間に、他の映画と契約してしまうというハプニングが発生。
その代わりに差し出していたのは、当時ポーリー役に内定していた、まさかのロバート・デニーロとのトレード。
ルカの代役に本物のギャングを使用する。
その成果が結実した、リハーサルを兼ねたコルレオーネファミリーの食事会は白眉のひとつ。
9位 アリ・マグローがスティーブ・マックイーンに寝取られる
仕事中毒でもあるエヴァンスは、妻をほったらかしにしてしまい、失った代償は大きく、この事件から急転落下し、クスリと酒に溺れてしまう。
「ゲッタウェイ」に出演するため、放ったらかしになってしまったアリ・マッグローを寝取られてしまうという大事件が勃発。
しかし、いくら天下のマックイーンとはいえ、プロデューサーの妻を寝とるとは、恐るべし。
8位 エヴァンスの現場復帰
9位の大事件により、エヴァンスが製作現場を離れたことにより、代役のラピドスに引継がれたことで、これまでの製作路線が変わってしまう。
あれこれ揉めた挙句に、これまでの労が報われず、映画が台無しになってしまうかと思われた矢先、突如として、姿を表すそのさまは実にスマートで、まさに救世主そのものだった。
7位 ラディがパラマウント会長との面接で放った一言
原作からのどのような映画を作ると問われたアンサー。
「凍りつくように恐ろしい家族の物語」
この返しでラディはプロデューサーに決定する。
脚色かもしれないが本作でも屈指のアツい名シーンだ。
6位 ラディが首になるもベティの奮闘により回避
これも脚色かもしれないが、ベティのキャラクター性が非常によく現れている名シーンだ。
秘書という立場を超越し、これがなければ「ゴッドファーザー」はお蔵入りしていたかもしれないことを考えると、作品が完成したことへの貢献度は計り知れない。
5位 コッポラがエヴァンスを説得する奇襲作戦
「ゴッドファーザー」の想いを熱く語り、家族の映画を撮ると宣言し、監督に就任する。
尚、その前にラディが訪問した時に、コッポラの研究所では当時のジョージ・ルーカスだと思われる人物が見切れているのもアツい。
4位 プーゾとコップラの共同執筆
本作ではコミカルなキャラクターのふたりの存在により、ほっこりするシーンが多い。
しかし、仕事にかける情熱はただならぬものがある。
ホテルにこもり、清掃員すら入れずに死臭を漂わせながら、共同脚本に没頭。
アツい関係性を構築し、見事に伝説の映画化につながった仕事を成し遂げている。
製作陣とは、資金やキャストの問題で何度も衝突するが、作品にかける情熱から妥協は許さない姿勢は終始一貫。
特に、ふたりでマイケルが変貌するシーンを語る場面は痺れる。
3位 コロンボまわりのエピソード
当初は映画化に猛反対していたが、ラディの漢気に惚れ、協力を惜しみなくなる姿勢に変わり、家にまねくほど仲がよくなる。
しかし、襲撃され重体となってしまうが、見事に復讐を果たし、絶望視していたシチリアロケが実現される。
シチリアシーンがない「ゴッドファーザー」なんて、「ゴッドファーザー」ではないといってもいいほど重要なので、このロケが実現された功績は大きい。
さらに、満を辞して関係者であるマフィアが集まる特別試写会は、涙なしにはみれない。
今までみた中でいちばんの映画だと言われるなど、映画としてはこれ以上、最上の褒め言葉はない。
2位 パチーノの能力を上層部に説得するために見せ場を先撮り
これは映画「七人の侍」でも同様の逸話が残っていて、最後の農民と武士たちによる雨の合戦シーンの前までを撮って、上層部にみせたというエピソード。
そして、そこまでみた首脳陣は続きをみたいため、金を出さざるを得なくなる程の出来だったというのは言わずもがな。
「ゴッドファーザー」でも、マイケルが変貌を遂げるその様は、アル・パチーノという名優を永遠と映画史に刻み込んだ特別の場面である。
1位 エディが「ゴッドファーザー」の成功から離れて自分の映画を手掛ける
奇しくも、ここまでの功労者であるルバート・S・ラディは、「ゴッドファーザー」製作後から卒業してしまい、独立してしまう。
これまでドタバタ劇を繰り広げ、プロデューサー業が板についてきた矢先に、この見切りのはやさは神技級。
このときすでに、成功が半ば約束された「ゴッドファーザー」の続編には参加せず、自分がやりたかった作品「ロンゲスト・ヤード」へ舵をとるというのはなかなか真似ができない。
漢の浪漫が詰まっている。
映画「ゴッドファーザー」をみていることが大前提のハードルの高さ
本作において、「ゴッドファーザー」自体の説明は決して多くなく、世界中に数多の信者がいるというものの、なかなか攻めた作品で、面白いが偏っている作品なのは間違いない。
ドラマ内では、「ゴッドファーザー」のあのシーンを撮っているということが明らかにわかる。
スタッフ目線のみとなっているため、玄人好みの仕様ではあるが、通には堪らないものがある。
一見「ゴッドファーザー」を好きではない、あるいは知らないという人には向けて作られていないように感じる。
しかし、みてみるとそういった人でも実は面白くみることができるという非常に柔軟性のある仕上がりだ。
果たして、この映画は本当に完成されるのかどうかといったハラハラ・ドキドキが詰まっている。
尚、「ジ・オファー」はFilmarks4.4、IMDB8.7と驚異的高評価の作品となっている。
ちなみに、「ゴッドファーザー」はFilmarks4.1、IMDB9.2といったスコア。
映画「ゴッドファーザー」困難を極めた制作の理由とは
当時のパラマウントは、経営悪化・界隈のマフィアからの猛反対・移民問題といった課題が山積みとなっていた。
当時の時代背景・映画業界ならではのパワーバランスにより、複雑な人間関係・資金繰の困難さ・アートより資本主義が優先されるなどの条件下での撮影。
それでも尚、このような映画史を代表する大傑作となり、映画史に残る稀有な作品となったのは、制作側と現場サイドの執拗な攻防戦の賜物。
リアルタイムで経験できなかった我々がそれを追体験できるという本作の完成度の高さには、感謝してもしきれない。
映画「ゴッドファーザー」完璧な映画の根源
本作の面白さは、副題にもあるように製作現場の想いが渾然一体となり、映画狂たちが作品内と同様に、一線を超えているところにあると思う。
製作・監督・原作・脚本・音楽・キャストなどが揃い踏み、世紀の傑作が誕生してしまった製作過程を真空パッケージング。
これまで数多ある、そういった類のドキュメンタリーとは異なる面白さをドラマという形で体現したフレッシュさが、まさに金字塔にふさわしい傑作ドラマを生み出した。
おそらく本作は、これから「ゴッドファーザー」とともに、何度もみたくなる歴史的にも価値のある作品となっているのは間違いない。
海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】の作品概要
原題 The Offer
製作 2022年
製作国 アメリカ
スタッフ
製作総指揮
・マイルズ・テラー
・デクスター・フレッチャー
・レスリー・グライフ
・アルバート・S・ラディ
・マイケル・トルキン
・ニッキ・トスカーノ
・ミヒャエル・シェール
制作プロデューサー
・ダリア・イベルハウプタイテ
監督
・デクスター・フレッチャー(EP1〜2)
・アダム・アーキン(EP3〜4、9〜10)
・コリン・バックシー(EP5〜6)
・グウィネス・ホーダー=ペイトン(EP7〜8)
まとめ
・海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】メインキャラクター
・海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】あらすじ・ネタバレ(実話・実在・実録)
・海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
・海外ドラマ【ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男】作品概要
PS.
「ゴッドファーザー」の音楽 ニーノ・ロータ、特殊メイクディック・スミス、ロバート・デ・ニーロのエピソードがあればもっと充実したのだが、それでも本作はド級の傑作だ。
PS2.
「地獄の黙示録」についても、傑作ドキュメンタリー「ハート・オブ・ダークネス」をみることで、より重層的に作品の深みが感じられるのだが、こちらも地獄の製作過程をドラマ化して欲しい。
PS3.個人的【コッポラ映画】ランキング
1. ゴッドファーザー
2. ゴッドファーザー PART II
3. ゴッドファーザー PART III
4.地獄の黙示録
6.テトロ 過去を殺した男
7. 雨の中の女
8. コットンクラブ
9. ランブルフィッシュ
10.アウトサイダー
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