ベルリン金熊賞なのに続編と共にDVDスルー幻の傑作
2003年「シティ・オブ・ゴッド」の衝撃に続き、2007年に本作は本国ブラジルで記録的な大ヒット、ベルリン映画祭では金熊賞受賞。監督は「ナルコス」・「ロボコロップ(2014年)」のジョゼ・パジーリャ。主演も「ナルコス」のヴァグネル・モウラ。それにも関わらず、日本では劇場公開されず、続編とともDVDスルー。本作では、非常に厳しい選抜訓練を突破した少数精鋭の殺人部隊が、スラム街に蔓延する麻薬組織を一掃する必殺仕事人たちを描く【永久保存版】。
目次
- 映画【エリート・スクワッド】ブラジル特殊部隊が主役
- 映画【エリート・スクワッド】リアルなストーリー描写
- 映画【エリート・スクワッド】特殊部隊BOPEの起源
- 映画【エリート・スクワッド】市街戦を得意とする特殊部隊
- 映画【エリート・スクワッド】作品概要
- 映画【エリート・スクワッド】あらすじ・ネタバレ
- 映画【エリート・スクワッド】キャラクター紹介
- 映画【エリート・スクワッド】名場面ハイライト
- まとめ
映画【エリート・スクワッド】ブラジル特殊部隊が主役
画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)
本作では、リオ・デ・ジャネイロを舞台に、警察と麻薬ディーラーとの癒着対策、スラム街ファヴェーラ街に巣食うギャング撲滅のために設けられたBOPEという特殊部隊を描いている。
BOPEの制圧は超法規的で手段を選ばない。
厳しい過酷な現実で死を目の当たりにすると、現場で役に立たない法に従うべきか、それともBOPEの正義に従うべきかを問われる。
悪を前に常識は通用せず、正義は揺れる。
「エリート・スクワッド」に登場するBOPEの存在はブラジルに実在しており、彼らはSNSでも日頃の活動を写真撮影するなどして投稿している。
彼らの目印といえばカペイラ(髑髏)と、真っ黒な服だ。
BOPEのSNSをみると、実際にドクロマークをつけた黒い服を身にまとっている事がわかる。
映画【エリート・スクワッド】リアルなストーリー描写
「エリート・スクワッド」がここまでリアルなストーリーになっているのは、実際にBOPEの関係者が製作段階で関わっているから。
特殊部隊なだけに入隊するには、厳しい訓練を受けなければいけないが、現在の隊員は400名ほどいる。
それだけに、警察と犯罪者という通常の映画よりも迫力のあるドキュメンタリーのように感じられる映画に仕上がっている。
本作では、驚愕する国家の地獄めぐりを体験させてくれる。
警察の汚職は常軌を逸していて、賄賂を獲るだけに収まらずに身内での賄賂の奪い合いや権力の乱用が常習化。
犯罪者と警察の銃撃戦に居合わせた際は常に死と隣り合わせだ。
あくまでフィクションではあるが、警察とマフィアとの権力社会の闇が詳細に浮き彫りになる。
映画【エリート・スクワッド】特殊部隊BOPEの起源
1978年1月に州軍警察・参謀長の配下に特殊作戦中隊本部が置かれたことに始まる。
1982年にその中隊は暴動鎮圧大隊へ配置転換され、中隊名も特殊作戦中隊に変更された。
1984年に参謀長の指揮下に戻され、特殊作戦中隊本部となった。
そして、1988年にリオデジャネイロ州全体を管轄する特殊作戦独立中隊となり、1991年3月に現在の姿であるBOPEに改組された。
映画【エリート・スクワッド】市街戦を得意とする特殊部隊
その中でもBOPEは、近距離で戦う事に優れている。
BOPE隊員はM16をはじめ、M4カービンやM1カービン、手榴弾など軍隊並みの重火器を装備している。
BOPEの本部隊は装甲戦闘車両とUH-1を有しており、重装備の麻薬組織等と衝突した際に使用される。
また、障害物やバリケードなどの路上封鎖を排除するため、大型のホイールローダーも備えている。
映画【エリート・スクワッド】作品概要
原題 Tropa de Elite
製作年 2007年
製作国 ブラジル
スタッフ
監督 ジョゼ・パジーリャ
製作 ジョゼ・パジーリャ
マルコス・プラード
脚本 ジョゼ・パジーリャ
ブラウリオ・マントバーニ
ロドリゴ・ピメンテル
キャスト
・ナシメント/ヴァグネル・モウラ
・マチアス/アンドレ・ラミロ
・ネト/カイオ・ジュンケラ
・ファビオ/ミヘルム・コルタス
・マリア/フェルナンダ・マシャード
・ロザーヌ/マリア・ヒベイロ
・バイアノ・ファビオ・ラーゴ
他
ナルコスの監督ジョゼ・パジーリャ、主演ヴァグネル・モウラについては、こちらをチェック↓
映画【エリート・スクワッド】あらすじ・ネタバレ
1997年、ストーリーの舞台となるのは、ブラジルの大都市リオデジャネイロである。
これまでチームのリーダーとして様々な任務をこなしてきた軍警察「BOPE(特殊警察作戦大隊)」所属のナシメント大佐は、無謀な任務が多い事に疲れを感じていた。
犯罪率が非常に高いリオデジャネイロでは生半可な覚悟では治安を守る事が出来ない。
BOPEの隊長として、ナシメントは暴力をもって対処する事を隊員に命令する事も多かった。
目的を遂行するためであれば市民にも暴力を振るう事はよくある事であり、隊員達はそれを躊躇する事なく行なう鋼の精神を持っている必要がある。
ナシメント大佐自身も家庭を犠牲にしなければいけない事が多く、妻との関係もぎくしゃくしているので現在の仕事を辞める事も考えている。
そんな時、リオデジャネイロにローマ法王が訪れる事が決まった。
法王が滞在する場所の近くには危険地帯と言われているスラム街があり、多くの麻薬ディーラー達がいた。
法王が訪れる前にそのディーラー達を一掃し、治安を安定させるようにという命令がBOPEに下った。
ますます精神的なストレスが増えたナシメント大佐の心は限界に近い状態である。
そこへ新たに新人として、幼馴染同士のネトとマチアスという2人が赴任してきた。
それぞれ正義感にあふれている2人はリオデジャネイロでギャングどころか一般市民や警察までもが好き勝手に犯罪に手を染めている現実を知り、絶望を感じてしまう。
ある時激しい銃撃戦が起き、それをきっかけに2人はBOPEへ入隊する事になった。
ずっと自分が除隊した後にBOPEを率いる後継者を欲しいと考えていたナシメント大佐は、ネトとマチアスをその候補として見るようになる。
マチアスは、大学生として勉強をする中で出会ったマリアという女性と恋に落ちていた。
しかし彼女は麻薬に手を染めており、所属しているNGOも麻薬密売組織のボスであるバイアノの息がかかったものだった。
バイアノは人々には一見親切で優しいが、本性は残忍な男だ。
その本性を知る人はNGOを含め、市民の中にはいなかった。
その後、あるきっかけでマチアスがBOPEの一員だと知ったマリアは、バイアノの報復を恐れて自分やNGOの人々を守るためにマチアスとの別れを決意する。
ところがそんな気持ちも空しく、徐々にBOPEとバイアノ一味の戦いは激しさを増し、苛立ったバイアノの命令でNGOのメンバーは次々と残酷に殺害されていく。
また、待ち伏せをされたネトも殺害されてしまった。
隊員を殺された時には徹底的な報復をする事が暗黙の了解になっているBOPEは、バイアノの組織にいる麻薬密売人を拷問してアジトを暴く事に成功する。
さらに現場で手下を全員殺害してボスのバイアノを追い詰めると、ナシメント大佐にショットガンを渡されたマチアスが親友の仇をとるべく、バイアノに銃を向けて、エンドクレジット。
続編へと続く。
映画【エリート・スクワッド】キャラクター紹介
・ナシメント
キャスト:ヴァグネル・モウラ
ヴァグネル・モウラ演ずるナシメントは、不毛で無謀な任務の毎日に疲れ果てていた。
そうした頃、BOPEへ入隊したとマチアスとネトが赴任してくる。
ナシメントは、ずっと自分が除隊後、後継者を欲しいと考えていたため、ネトとマチアスの2人をその候補として見るようになる。
・マチアス
キャスト:アンドレ・ラミロ
元々は弁護士を目指して、大学で社会学を学んでいた頭脳派。
腐敗した警察組織を目の当たりにし、ネトと共にBOPEに志願する、黒人青年。
・ネト
キャスト:カイオ・ジュンケラ
マチアスの幼なじみで親友。
マチアスとは対照的で直感で動くタイプで、情熱的な白人青年。
・ファビオ
キャスト:ミヘルム・コルタス
ヘタレ警察官、司令官の犬。BOPE選抜のしごきに耐えられず脱落。
・マリア
キャスト:フェルナンダ・マシャード
マチアスの恋人役で、NGOに所属している。
・ロザーヌ
キャスト:マリア・ヒベイロ
ナシメントの嫁。
子どもを授かるが、家庭を顧みずBOPEに没頭しているナシメントとの関係に限界を感じている。
・バイアノ・ファビオ・ラーゴ
ディーラー達の元締めの麻薬密売組織のボス。
映画【エリート・スクワッド】名場面ハイライト
ハイテンションなオープニング
日本ではほとんど誰も知らなかった、カペイラ(髑髏)と全身黒衣に身を包んだ、ブラジルの特殊部隊BOPE。
作品としては「グッドフェローズ」の雰囲気を保ちつつ、「シティ・オブ・ゴッド」級のカオスなスラム街での銃撃戦、「フルメタル・ジャケット」顔負けの鬼しごきの選抜訓練キャンプ。
そして、緊迫感溢れるBOPEの暗殺報復まで息つく暇を与えられず怒濤の展開が続き、呼吸困難に陥る程のあっという間。
過酷な状況下での人間ドラマ
警察のエリートで組織された部隊と麻薬組織との戦いが描かれ、入り組んだ迷路のようなスラム街ファヴェーラで展開される熾烈な銃撃戦のシーンは意外と控えめ。
どちらかと言えば、法と正義の狭間で揺れる新米警官の葛藤や成長、BOPEからの引退を望みつつ部隊を率いらなければならないBOPE隊長の苦悩や後悔、後継者の育成が中心に据えられている。
前半はリオの警察組織内部に蔓延している腐敗を暴き出し、新米警官の正義を貫き通す様子を丁寧に描き、BOPEと出会い、入隊する物語。
狂った国家の闇に対抗するために
後半は、エリートになるための訓練では、100人のうち5人残るかどうかという過酷さ。
スパルタ教育当たり前で、肉体・精神的にも強くないと残れない地獄のトレーニングだ。
後半の壮絶な訓練シーンから畳み掛けるようにして、クライマックス突入する非常に濃い内容の作品。
控えめと言ってもアクションは壮絶で、後味はほろ苦く、緊張感は持続する。
絶対に屈せずに決して弱音を吐かない男だけしか生き残ることができないと理解させられるのがBOPEという組織だ。
本作は、粗々しさはあるが、過酷な現実を情熱が注がれた熱量の高い作品ということが痛いほど伝わってくる。
「エリート・スクワッド」は2部作となっていて、「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」へと続く。
「エリート・スクワッド」よりも大傑作の続編は、こちらをチェック↓
まとめ
・映画【エリート・スクワッド】ブラジル特殊部隊が主役
・映画【エリート・スクワッド】リアルなストーリー描写
・映画【エリート・スクワッド】特殊部隊BOPEの起源
・映画【エリート・スクワッド】市街戦を得意とする特殊部隊
・映画【エリート・スクワッド】作品概要
・映画【エリート・スクワッド】あらすじ・ネタバレ
・映画【エリート・スクワッド】キャラクター紹介
・映画【エリート・スクワッド】名場面ハイライト
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