イッキ観が当たり前の【エリート・スクワッド】続編
本作は、「エリート・スクワッド」でベルリン国際映画祭で最高賞を受賞した続編であり、本国ブラジルで1100万人を動員し、歴代興行収入を塗り替えた記録的な作品。前作は確かに面白かったものの、さらに色々パワーアップしている。前作で、高まったまま感情をそのままに、むずかしい事は考えず、間髪入れずに鑑賞を推奨。もし前作を未見の場合、まずは「エリート・スクワッド」をみるべし【永久保存版】。
目次
- 映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】作品概要
- 映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】あらすじ・ネタバレ
- 映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE】キャラクター紹介
- 映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE】関連の特殊部隊おすすめ映画3選
- 映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】名場面ハイライト
- まとめ
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】作品概要
画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)
原題 Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora E Outro
製作 2010年
製作国 ブラジル
スタッフ
監督 ジョゼ・パジーリャ
製作 ジョゼ・パジーリャ
マルコス・プラード
脚本 ブラウリオ・マントヴァーニ
ロドリゴ・ピメンテル
キャスト
・ナシメント/ヴァグネル・モウラ
・マチアス/アンドレ・ラミロ
・フラガ/イランヂール・サントス
・ロザーヌ/マリア・ヒベイロ
・ラファエル/ペドロ・バン・エウド
・ファビオ/ミヘルム・コルタス
・クララ/タイナ・ミューレル
他
ナルコスの監督ジョゼ・パジーリャ、主演ヴァグネル・モウラについては、こちらをチェック↓
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】あらすじ・ネタバレ
前作エリート・スクワッドはこちらをチェック↓
前作から時は流れ、本作の舞台は刑務所から始まる。
麻薬密売に関わる敵対グループが収容されていた。
街中だけでなく、刑務所内も抗争の場となっていた。
あるグループが騒動を起こし、他グループの人間を人質にとった。
主人公ナシメントは、特殊警察作戦大隊(BOPE)の隊長であるが、事件の解決に動いたのが、人権擁護派の活動家フラガであった。
フラガはナシメントの別れた妻や子供と暮らしており、ナシメントにとっては目の上のたんこぶであった。
ナシメントは妻のロザーヌと離婚し、一人息子ラファエルの親権も奪われた。
ロザーヌは市民活動家のフラガと恋人関係になるが、ナシメントとフラガは険悪な関係が続く。
彼らは職業的にも思想的にも立場が正反対で、それが険悪な関係に拍車をかけていた。
独り身となったナシメントはBOPEからの引退を撤回し、ひたすら仕事に打ち込むようになる。
中佐へと昇格した彼は、刑務所内の暴動を鎮圧する任務を与えられる。
BOPEと共に現場に駆けつけると、暴徒らから交渉相手に指名される。
その際、暴徒とフラガの間にトラブルが発生し、銃を持った暴徒を部下のマチアスがリーダーを射殺し、BOPEはフラガの目の前で騒動を起こした囚人全員を射殺してしまう。
ナシメントは責任を取らされ異動になるが、英雄的行為が市民から賞賛され公安セクションの責任者に昇格する。
一方、警察組織は後任の責任者によって巨大な組織へと変貌していく。
それは政治家とも結託して、スラムの住民から利益を搾り取る悪徳団体になっていった。
刑務所内での一連の騒動により、ナシメントは警察内部から激しいバッシングを受けることになる。
それに対してブラジルの国民からは英雄と賞賛され、彼はリオデジャネイロ州公安局の次官に昇進する。
一方、暴徒を射殺したマチアスはBOPEから除籍され、警察内の書類整理係へ左遷される。
彼は怒りを爆発させて新聞記者を使って内部告発し、結果として有罪となる。
拘留されたマチアスのもとをナシメントが訪れ、現在の状況はマチアス自身が招いたものだと叱責する。
妻や元部下とも険悪な関係になったナシメントは、次官としての立場を最大限活用しBOPEの増強を図ることになる。
最早彼の生きがいは、リオデジャネイロからギャングを一層することに絞られたわけである。
ギャングが壊滅したことで警察官の汚職も無くなり、リオデジャネイロの街には一旦平和が訪れるかに思えた。
しかし、汚職警察たちは暗黒街を支配するようになり、そこに政治家まで加わることになり、巨大な悪の組織(以下:「システム」)へと変貌を遂げてしまう。
彼らの陰謀に気づいたナシメントは、犬猿の仲だったフラガと協力して「システム」と戦うことになる。
ナシメントが「システム」に気づいていたのは、公安で盗聴を担当していたからだ。
ナシメントは州議員となったフラガと手を組み、「システム」に挑むことになる。
「システム」は、BOPE隊員に復帰したマチアスと真相暴露を図る新聞記者を殺害し、フラガの暗殺まで企てる。
さらにフラガと同居しているナシメントの息子ラファエルまで銃撃され、昏睡状態に陥ってしまう。そして「システム」の陰謀によって、ナシメント自身も解任に追い込まれる。
そこで終に彼は、「システム」との最後の戦いに挑むことになる。
彼に残された手段は公聴会での証言で、「システム」の全て公に暴露した。
証言は3時間の長きにわたり、その後政界や警察組織には静粛の嵐が吹き荒れることになるが、人が変わるだけで「システム」そのものは残ってしまうのだった(新リーダーはファビオ)。
昏睡状態のラファエルは看病していたナシメントの目の前で目を覚まし、物語は幕を閉じる。
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE】キャラクター紹介
本作ではキャラクターよりも、「システム」そのものを重視している。
そのため、それぞれのキャラクターは、記号化されている傾向があるので、キャラクター紹介は割愛する。
その代わりに、世界の特殊部隊に目を向けたい。
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE】関連の特殊部隊おすすめ映画3選
BOPEについては前作で記載したので、今回は世界の特殊部隊を紹介したい。
世界には様々な特殊部隊があるが、まずは最も有名なのがアメリカのSWAT。
ジョージ・A・ロメロ監督 「ゾンビ 」
SWATが登場する映画といえば、これ!
(現題:Dawn of the Dead )
1967年にロサンゼルス市警察で編成されたのが最初で、当時は軍務経験者によって構成された。
通常の警察官では対処困難な、重大犯罪への対応を任務としていた。
これがうまくいったことにより、全米の警察組織に導入されるようになった。
SWAT隊員ピーター役にケン・フォリー、ロジャー役にスコット・H・ライニガー。
そのSWATと映画内で全面戦争するのが、ヘルズ・エンジェルである。
ヘルズ・エンジェルは、アメリカの反社会的な凶悪暴走族。
アメリカに多数存在するモーターサイクルギャングの中でも、モンゴルズ、サンズ・オブ・サイレンス、ヴァルチャールズの中でも、孤高のワルと言われ、最後の1%と称されている。
主な収入源は殺人、強盗、恐喝、売春、重火器及び違法薬物の密売。
ヘルズ・エンジェルブレイズ役はトム・サヴィーニ。
アルジェント版SWAT隊員が冒頭で、篭城している犯人を制圧するため、アパート内に突入する時に、ゾンビ(曲名)が流れるシーン。
また、ヘルズ・エンジェル達が、ショッピングモールに突入する時に流れるサラトゾム(曲名)がかかるシーンは、いつ観てもアガる。
「ブラックホーク・ダウン 」
レンジャー部隊と合同でデルタ・フォースが、民族紛争の続くアフリカのソマリアへ、内戦を終結させるため軍事介入した映画。
レンジャーは、空港や市街地の強襲といった大規模な作戦、他の特殊部隊(デルタ等)の支援にあたる。
遊撃戦を担当する他、パラシュート降下も可能なのが特徴だ。
デルタ・フォースは、テロ活動等からの人命救助、テロ活動の撃滅などを任務とする。
テロリストや敵の重要人物の襲撃・排除といったピンポイントの作戦にあたる。
この辺りの役割の違いが、映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれている。
1993年、米軍は内戦を終結させようと、最大民族を率いて和平に反対する独裁者アイディード将軍の副官を捕まえるため、約100名の特殊部隊が首都モガディシュにむかった。
当初作戦は1時間弱でおわるはずだったが、作戦の開始直後に将軍派の民兵の放ったロケットランチャーにより、2機の軍用ヘリコプターであるブラックホークが撃墜(ダウン)してしまう。
撃墜(ブラックホーク・ダウン)した敵地の中心へ仲間たちの救出に向かう兵士たちは、泥沼の市街戦に突入していく。
マッドマックスの、イモータン・ジョーのような支配者の元、ウォーボーイズのような、民兵が次々と襲ってくる中、必死の救出劇が繰り広げられる。
「炎628 」
最後に登場するのは「究極の悪」ナチス。
ヒトラーの側近の極悪人、SS最高指導者ハインリヒ・ヒムラーの元、SSのナンバー2であるラインハルト・ハイドリヒにより創設。
アインザッツグルッペンは、武装親衛隊(SS)特別行動部隊で反ナチ撲滅を実行した。
別名、移動型ホロコースト特殊部隊。
トレードマークは、全身黒の制服、ルーン文字で表記したSSのマーク、ドクロの記章。
1000名前後の集団で、さらに数100名程度の特別出動部隊(アインザッツコマンド)や、特務部隊(ゾンダーコマンド)に別れて虐殺作戦を実行。
東部戦線時、(独がソ連侵攻の際に東部へ領土を拡大)最も大規模な虐殺となった。
独ソ戦で、ベラルーシ(旧白ロシア)の、パルチザン(民間人になりすまして攻撃するゲリラ)、掃討の地獄絵図を描いた「炎628」は、第二次世界大戦映画の最高峰だ。
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】名場面ハイライト
冒頭の暴動が示す腐敗臭
まずは、進化したオープニングがカッコイイ。
そして、冒頭で繰り広げられる刑務所内の暴動、なぜか囚人が拳銃持っている。
異なるギャンググループが一緒の刑務所に入っていると、縄張り争いが発生する。
特殊部隊BOPEが暴動の鎮圧に成功するも、ギャングのボスを殺したという理由で懲罰対象に。
しかし市民らの支持が高かったために指揮した人は公安へ栄転。
ただ、現場の隊長していたマチアスは警官へ降格という始末で、実は政治が影響している。
その政治を操る政治家すらも腐敗していたというのが本作の肝で、物語の焦点は現場から「システム」へと移り変わる。
前作に続き、闇の深さに震撼。
前作からのパワーアップ要素
前作がミクロな視点(部分)であったのに対して、本作ではマクロな視点(全体)。
前作より派手な銃撃戦を期待していると、裏切られるかもしれない。
しかし、本物のワルがわかる時、スケールアップ感は本作に必要だし、続編にふさわしい。
前作との対比が効いていて、ブラジル社会の暗部表現がすばらしい。
ジョゼ・パジーリャの真骨頂が発揮されている。
「エリート・スクワッド」が素晴らしかったものの、本作では異なる種類の大傑作。
国家規模の腐敗をあぶり出し、圧倒されっぱなしの展開に仕上がっていて、そしてバイオレンス色も一層濃くなっている、がっつり骨太の社会派ドラマ。
警察が腐敗し「システム」が作られていく過程、それが邪魔されそうになると邪魔者を排除していく、ゴア描写を交えみせつけられる。
自分の信じてきた正義が、最も憎むべき悪であったことを思い知り苦悩する。
ギャングが汚職警官に代わっただけという腐敗のループ。
これを正すのは至難の業だと絶望的な気分にさせられる。
そもそもの前提条件が狂っている
本作では、なぜ問題が起こり続けるのか?という問いに対し、明確な答えを出す。
国家でも個人でも同じ問題が孕んでいる。
一次的な問題を解決では、根本から変えない限り、似たような問題は再発する。
システムを牛耳る人間を一時的に屠っても、まだまだ腐敗は滅ばすことはできず、永久に不滅だ。
国家の揺るぎが浮き彫りになり、闇の深さに驚かされ、その不謹慎な面白さは折り紙付き。
シリーズ第3弾を期待せずにはいられない大傑作。
まとめ
映画【エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE 】
・作品概要
・あらすじ・ネタバレ
・キャラクター紹介
・関連の特殊部隊おすすめ映画3選
・名場面ハイライト
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