アカデミー賞直前!傑作ぞろいをサクッとチェック!
【Netflixオリジナルドキュメンタリー映画】については、アカデミー賞では高評価が続いている。【Netflixオリジナル映画】の作品賞は敷居が高く、未だに受賞に至っていないが、ドキュメンタリー賞では、長編・短編ともに受賞歴がある。もちろん、ノミネートも多数。そんなおすすめ10作品を紹介【永久保存版】。
目次
【Netflixオリジナルドキュメンタリー映画】歴代アカデミー賞受賞・ノミネート10作品
ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い(2015年10月9日から配信開始)
2015年 (第88回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
まずは、今こそみるべき、2015年製作のドキュメンタリー映画。 ロシアのウクライナ侵攻の背景を知ることができる作品のひとつ。
焦点となるのは、2013年に起きたマイダン革命。 ウクライナは、1991年ソビエトから独立、2004年オレンジ革命、 2010年にEU加盟を選挙公約に掲げた親露派のヤヌコーヴィチが大統領に当選するも、公約を反故にしたため反政府デモが勃発。
政府側は、警察特殊部隊ベルクトを派遣し、暴動鎮圧を図り、大騒乱となった。 丸腰の国民を特殊部隊員たちが殺傷した地獄絵図。 革命の地で少女が引くピアノが印象的。
プーチンは、当時の大統領であるヤヌコーヴィチを、ゼレンスキーからすげ替え、傀儡政権を狙っているとのうわさがある。
ほぼウクライナからの視点のみで描かれているので一方的ではあるが、世界史においてロシアによるクリミア半島併合、ウクライナ東部紛争へとつながっていくきっかけになった事件を扱っている資料価値の高い作品。
尚、2016年にオリバー・ストーンが製作総指揮を務めた「Ukraine on Fire」もある(日本語字幕付きが出回っている)。
こちらは、ロシア側の視点も交え、歴史をもっと深堀りするので、より詳細なドキュメンタリー映画となっている。
「ウクライナ・オン・ファイアー」を鑑賞することで、共感できるかどうかは別として、ロシアの進行の理由、プーチンの動機がわかる作品となっている。
ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊(2016年9月16日から配信開始)
2016年 (第89回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞受賞。
当時、短編部門でノミネートされた5本のうち3本がシリア難民についての題材の中、Netflixオリジナル映画で初のアカデミードキュメンタリー短編賞を受賞。
ホワイト・ヘルメットとは、シリア内戦において、中立の立場で、敵味方関係なく内戦の犠牲になった市民たちを救出することを目的に活動する民間人が結成した救助部隊。
そんな彼らの勇姿を追ったドキュメンタリーは、隊員自らが撮影した映像では、シリア内戦にカメラが乗り込み、命がけの救出活動が捉えられている。
イカロス(2017年8月4日から配信開始)
2017年 (第90回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞受賞。
Netflixオリジナル映画で、オスカーで初のドキュメンタリー長編部門を受賞したのが、本作「イカロス」だ。
自転車競技の元スター選手、ランス・アームストロングのドーピング発覚による失墜をきっかけに、その実態を探るため、自らドーピングをして自転車競技に挑むドキュメンタリー。
本作の監督・主演を務めるブライアン・フォーゲルは、アマチュア自転車選手であり、ロシアの反ドーピング機関の所長と手を組んで実験する姿が映像に収められている。
前半は、「スーパーサイズ・ミー」のように、自ら身体を張った人体実験で、ドーピングをバンバン施す。
ドーピング問題を明るみにし、スポーツ界に一石を投じる作品になるはずが、撮影の最中、あることがきっかけとなり、当初の目的から大きく逸脱し、予想もしなかった方向へ突き進む。
後半は、「スノーデン」ばりの内部告発劇が展開され、ロシアの国家機密事項に迫るスケールの大きい、政治の中枢に迫る黒過ぎる闇が暴かれる。
ピリオド -羽ばたく女性たち-(2019年2月16日から配信開始)
2018年 (第91回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞受賞。
男尊女卑が著しく、女性の月経をタブー視する風潮が根強いインドの田舎。
インドでは生理用ナプキンの普及率が極端に低いため、低コストで衛生的なナプキン製造法を学ぶ女性たち。
自ら製造・販売をすることで、経済的自立を促す人々の輝きを的確にとらえている。
アメリカン・ファクトリー(2019年8月21日から配信開始)
2019年 (第92回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞受賞。
また本作は、オバマ夫妻の製作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションの制作作品として、話題となった。
オハイオ州で閉鎖した工場を経済成長している中国企業が買い取り、失業した地元の労働者たちは喜ぶ。中国企業側はアメリカ進出を狙い、現地人としては再雇用を期待していた。
当初は家族付き合いなども見られ、うまく行くと思われたのもつかの間。
しかし、アメリカ式で長年やってきた工場に中国資本が入り込むと、文化の違いに労働現場は大混乱。
「安全は利益を生まない」といった印象的なフレーズが飛び出し、中国のビジネスに対する姿勢が現れはじめると、それまでの現場のやり方は通用したくなり、米中間で緊張感が生まれ、分断につながる。
アメリカ人の安全と中国人の生産性に対する意識の違いから、労働災害、労働組合など問題が勃発し、1つの理念の元にまとまるため、奮闘する経営陣、管理陣、労働者たちを追ったドキュメンタリー。
今度どの国、地域でも起こり得るビジネス現場のイノベーションをリアルに捉えている。
ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け(2020年3月25日から配信開始)
2020年 (第93回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
「アメリカン・ファクトリー」に続き、オバマ夫妻の製作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションの制作作品。
また本作は、サンダンス映画祭で観客賞を受賞。
前半、1951年〜77年にかけて、ニューヨーク郊外で生涯を持つティーンたちのための伝説のサマーキャンプのドキュメンタリー。
後半、キャンプの参加者たちが何かに目覚め、自らの権利を獲得するために活動を開始。
歴史に刻まれることになる、長い人権運動&改革へと発展する不屈の戦い記録が収められている。
オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年9月7日から配信開始)
2020年 (第93回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞受賞。
まずはさておき、このドキュメンタリー映画を撮ろうと思った発想がすごい!
タコへの1年間といった密着ぶりがすさまじく、さぞかし編集は大変だったと思われる。 こうした苦難の道を経て、よくぞ作品としてまとまったと思う。
そして、タコのドキュメンタリーはどんなものかと思ったが、まさかの恋愛ものだった!!
1匹のタコを愛でて、She(彼女)と呼び、特別な絆を築いていく。 実は、タコは知性が高い生物なのである。
南アフリカの美しい海を舞台に、異色の恋愛をえがいたこのドキュメンタリー映画、完成度は高いし、意外性もあり、没入度も深い。
鑑賞が終わる頃には、タコへの認識が変わるだろうし、もしかしたらこのドキュメンタリー映像作家のように、タコに恋心を抱くかもしれない。 必見のドキュメンタリーだ。
オーディブル: 鼓動を響かせて(2021年7月1日から配信開始)
2021年 (第94回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
今時っぽい、聴覚障碍者を扱っている題材なので、手話と字幕でほとんどが貫かれるクールな短編ドキュメンタリー。
ろう学校のアメフトを題材だが、「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」を思い出したりもした。
個性的なキャラクターたちが、高速手話で、コミュニケーションを図りながら、逆境を感じさせない若者たちの力強さが輝いていた。
個人的には、アカデミー短編賞でノミネートされているNetflixオリジナルドキュメンタリー映画の3作品の中では最有力かと!
私の帰る場所(2021年11月30日から配信開始)
2021年 (第94回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
「アメリカン・ファクトリー」のその後を描いていたようで、よりリアルに感じた。
職を失っただけではなく、DV被害、トランスジェンダーなど様々な理由のホームレスの人々に焦点当てている。
また、ホームレスに対する支援と排除側の衝突も見られる。
画面も、アメリカ西海岸の都市にそびえる高層ビル群とその袂のテントといった対比表現。
まるで、フェスでも開催しているかのようなオシャレなエリアに点在している路上生活者たち。
天国と地獄が同居し、紙一重の境界線だ。
ベナジルに捧げる3つの歌(2022年1月24日から配信開始)
2021年 (第94回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
複雑な問題を孕むアフガニスタンの難民キャンプで暮らす青年シェイスタを通して、戦争によって自由が奪われる現実を描く。
妻ベナジルと生まれてくる子供のために、死をも覚悟して国防軍に志願するものの入隊を断られ、収入のために選択肢はなく残った道で働かざるを得なくなる。
監視用の気球が常に浮かぶ避難民キャンプでの生活は過酷で、それを象徴するかのように、場面が切り替わり突如として衝撃的なラストが訪れ、さらなる追い討ちをかける。
ひたすら辛く、後味のよくない映画ではあるが、端的にまとまっている。仲睦まじい夫婦愛が何よりの救いだ。
【Netflixオリジナルドキュメンタリー映画】歴代アカデミー賞ノミネート作品たち
・ニーナ・シモン〜魂の歌(2015年9月2日から配信開始)
2015年 (第88回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート
・最期の祈り(2016年9月13日から配信開始)
2016年 (第89回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
・13th -憲法修正第13条-(2016年10月7日から配信開始)
2016年 (第89回)アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート
・ヘロイン×ヒロイン(2017年9月12日から配信開始)
2017年 (第90回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
・エンド・ゲーム: 最期のあり方義(2018年5月4日から配信開始)
2018年 (第91回) アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
・眠りに生きる子供たち(2019年6月14日から配信開始)
2019年 (第92回) アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
・ブラジル -消えゆく民主主義(2019年6月19日から配信開始)
2017年 (第90回) アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
・ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜(2020年9月21日から配信開始)
2020年 (第93回)アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート。
まとめ
※画像の引用元:IMDb公式サイトより
【Netflixオリジナルドキュメンタリー映画】歴代アカデミー賞受賞・ノミネート10作品プラスαを紹介。
今後もNetflixオリジナルドキュメンタリー映画からオスカーにノミネートされる流れは続くと思われる。
今年のアカデミー賞では長編の【Netflixオリジナルドキュメンタリー映画】のノミネートはなく、短編が3つノミネートされており、結果が楽しみだ。
ドキュメンタリー映画は、とても勉強になる。歴史の復習はもちろん、近未来の情勢、日常ではない特殊な世界を観ることができ、世界で起こっていることがわかる。
尚、Netflixオリジナルドキュメンタリー映画には、アカデミー賞には関連がないものも数多く制作されているので、今後も引き続きチェックしたい!
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