ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

【カンヌ映画祭映画】最低限みておくべきヨーロッパ映画10作品

世界三大映画祭カンヌ映画祭入門編特集

毎年5月はフランス南部都市カンヌで映画祭が開催される記念すべき時期。2023年は現地時間5月16日から5月27日までが映画祭の期間となっている。世界三大映画祭の中で最も有名かつ注目度も高いだけに、映画ファンならば要チェック。それでも、カンヌで評価された映画が日本で劇場公開されるまでは時間がかかるのが通例となっている。そこで今回は過去作を振り返る企画を届けたい、カンヌ映画祭受賞作関連のおすすめヨーロッパ映画10作品他全50作品【永久保存版】。

 

目次

カンヌ映画祭映画】の特徴は?他の映画祭の違いとは?

最低限みておくべきカンヌ映画祭映画トップ

※画像の引用元:カンヌ映画祭公式サイトより

 

カンヌ国際映画祭は、毎年5月にフランス南部都市カンヌで開催される。

 

ベルリン国際映画祭ヴェネツィア国際映画祭と並び世界三大映画祭のひとつ。1946年から行われている歴史を持つ(戦争で開催されない期間があった)。

 

カンヌ映画祭は、他の映画祭と比べて「独自性」・「商業性」重んじている特徴がある。

 

映画祭のロゴや最高賞の名前にもなっているパルム・ドールの意味は、「黄金のヤシの木の葉」の意味で、最高の名誉とされている。

 

そのため、カンヌ映画祭での受賞を狙っている作品は、カンヌで初のお披露目として温存されている作品も少なくなく、注目作が集まっている。

 

ハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」のプレミアなど、公式上映作品はすでに発表されており、その一部を抜粋すると以下の通り。

 

・「PERFECT DAYS」 ヴィム・ヴェンダース

・「THE OLD OAK」 ケン・ローチ

・「MAY DECEMBER」 トッド・ヘインズ

・「怪物」是枝裕和

・「Il sol dell’avvenire」ナンニ・モレッティ

・「Killers of the Flower Moon」マーティン・スコセッシ

・「Cobweb」キム・ジウン

・「Kennedy」アヌラグ・カシャップ

・「首(KUBI)」 北野武

・「CERRAR LOS OJOS (FERMER LES YEUX)」 ビクトル・エリセ

など

 

カンヌ映画祭映画】最低限みるべき作品の選出基準について

選出基準については、前回のベルリン映画祭特集の時と同様。

 

世界三大映画祭のすべてで最高賞を受賞している映画作家は世界でたったの3人しかおらず、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーミケランジェロ・アントニオーニロバート・アルトマンがその栄誉ある賞を受賞している。


また、最高賞ではないものの、三大映画祭での受賞歴を誇る監督作、またその所縁のある作品からヨーロッパ映画を今回は独自に選出した。


また、ベルリン映画祭に比べ、知名度の多い作品が多く、ラインナップに苦労することなかった。

 

むしろ、あれも入れたい、これも入れたいと言った作品が多く、ラインナップの厳選に悩む、そんな嬉しい苦労があったくらい。

 

カンヌ映画祭映画】おすすめの名作・有名作を一挙ライナップ

前述した通り、カンヌ映画祭は「独自性」・「商業性」を重んじているため、他の映画祭に比べて、多種多様なラインナップが並ぶのも醍醐味だ。

 

そのため、一見すると一貫性に欠けるように思えるかも知れないし、観賞後はもしかしたらこれがカンヌの最高賞受賞?という疑問を持つ難解な作品もあるかも知れない。

 

しかし、その疑問も当時の時代背景や映画史を学ぶにつれて解決するはずなので、外せない10作品につき自信を持って送り出したい。

 

カンヌ映画祭映画】最低限みるべきヨーロッパ映画10作品

・恐怖の報酬(1953年)

 

クルーゾー版・フリードキン版(1977年)、どちらも甲乙つけがたい大傑作。

 

クルーゾー版は前半コメディタッチの人間ドラマパートを下敷きに、後半のサスペンスを上乗せしたシンプルな重層仕様。

 

対するフリードキン版は、終始ゴリゴリの無骨さで無頼な重厚感満載なシリアス路線。

 

本作は、前半パートはややかったるさを感じてしまうほど、たっぷりとキャラクター紹介の人物描写に時間を費やす事で、後半のニトロ運搬での登場人物への感情移入度は、フリードキン版以上の効果を発揮している。

 

また、今みても、極上のサスペンス要素は、ラストのオチまで含め、名作と言わしめられる完成度は決して色褪せない、世界三大映画祭W最高賞の超一級品。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール。ベルリン映画祭金熊賞

 

・第七の封印(1957年)

 

イングマール・ベルイマンの代表作のひとつ。 ペストが流行し、終末世界を呈した中世ヨーロッパを舞台に、救いを求める人々の中、騎士アントニウスの前に死神が現れる。

 

死の宣告により、生きる意味と、神の存在を問うベルイマン作品に共通するテーマが扱われている。 冒頭及び終盤に、タイトルの「第七の封印」について、新約聖書ヨハネの黙示録からの引用により、作品の暗示が示される。

 

「子羊が第7の封印を解いた時、およそ半時間ばかり天に静けさがあった。七つのラッパを持った七人の御使いが、ラッパを吹く用意をした。」

 

黒いローブを身にまとい、白い顔擬人化された死神のイメージが革新的で、その後様々な作品に影響を与えた。

 

死神とのチェスのシーン、魔女狩り、最後の晩餐、死の舞踏など宗教色が強いモチーフが多く登場する名場面が印象的。 普遍的な真理が描かれている。

 

カンヌ映画祭グランプリ。

 

イングマール・ベルイマン監督作品

(1958年) 女はそれを待っている


大人は判ってくれない(1959年)

 

本作ほどタイトルが死ぬほどわかりやすいのも稀。

 

しかし、裏を返せば、子供もわかってくれないという日本の諺にもある親の心子知らずといった内容で双方ともに言い分があるし、立場によっていろいろあるのが伺い知れる。

 

簡単に言えば、13歳の少年アントワーヌ・ドワネルジャン=ピエール・レオ)による地獄巡り映画。

 

学校にも、家庭にも居場所がなく、ウロウロと孤独に彷徨った挙句、行き着く果てでのラストカットの切れ味が鋭い。

 

ヌーヴェルヴァーグ界の貴公子フランソワ・トリュフォーの自伝的長編映画の処女作にして代表作。

 

アンリ・ドカエの撮影は終始美しく、ジャン・コンスタンタンの音楽は不安定な少年の心情を見事に表現している。

 

カンヌ映画祭監督賞。

 

・山猫(1963年)

 

シチリア雄大大自然、豪華絢爛な大舞踏会を堪能する贅沢にして、今では決してこういった作品は撮られない本物の芸術映画を体感できる、ルキノ・ヴィスコンティの代表作。

 

原作者ランペドゥーサ、音楽ニーノ・ロータ、撮影ジュゼッペ・ロトゥンノといった超一流が結集。

 

本物の貴族、屋敷、家具、衣装、自然光などに徹底的に拘った荘厳な重厚さが醸し出す崇高な世界観の構築。

 

年老いた貴族は、ヴィスコンティの分身としてバート・ランカスターが演じる。 新時代の幕開けの象徴として、アラン・ドロンクラウディア・カルディナーレにその役目が託されている。

 

しかしながら、この映画の持つ真の価値にはまだまだ到達出来ていないようにも感じられるポテンシャルの高さは測り知れない。 妥協なき作家性、再現性の低い唯一無二、永遠に不滅。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール

 

・欲望(1967年)

 

ミケランジェロ・アントニオーニによる、当時ポップカルチャーの最先端だった1960年代のロンドンを舞台にした、初の全編英語作品。

 

アートでスタイリッシュに虚無を描く天才、その手腕が本作でも炸裂している。 シャープでサイケデリックな映像による斬新な切り口が今もなお不思議な世界観を醸し出している。

 

音楽は、ハービー・ハンコックのジャズがクールだし、ライブとして登場するジェフ・ベックジミー・ペイジが共存していた時代のヤードバーズの出演が貴重で映画の価値を底上げしている。

 

出演は、デヴィッド・ヘミングスを始め、美男美女が揃って共演。ヴァネッサ・レッドグレイヴジェーン・バーキン、サラ・マイルズ。

 

パルマの「ミッドナイトクロス」の元ネタとしても有名。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール

 

ミケランジェロ・アントニオーニ監督作品

情事(1960年)

太陽はひとりぼっち(1962年)

 

パリ、テキサス1984年)

 

ロードムービーの旗手としても知られるヴィム・ヴェンダースによる本作は、ロードムービーの金字塔として最高評価がなされている大傑作。

 

テキサス、ロス、ヒューストンを巡る車窓から広がる殺伐としつつも風景の美しさに目を奪われ、随所に用いられるテーマカラーである血のつながりや家族などを示す赤が映える。

 

繊細なスライドギターの乾いた音色が気高く鳴り響き、絶妙に全編に絡み、包み込まれる。

 

ロビー・ミューラーの画、ライ・クーダーの音楽は、ヴィム・ヴェンダースロードムービーに欠かすことのできない絶対的存在。

 

 L・M・キット・カーソン サム・シェパード が携わった脚本を体現した、 ハリー・ディーン・スタントン、ナターシャ・キンスキーによる矛盾した愛を表現する様子はいつみても、どこまでも愛おしい。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール

 

ヴィム・ヴェンダース監督作品

ベルリン・天使の詩(1987年)

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年)

 

ラルジャン(1983年)

 

トルストイ原作、ブレッソンが辿り着いたリアリズムの到達点。遺作にして最高傑作。

 

偽札事件をきっかけにたんを発し、原作とは異なり負の連鎖の行く末を淡々と描く。

 

例によって劇中に使われる音楽は一切なく、後半に出てくる老人が弾くバッハの半音階的幻想曲とフーガのピアノだけが物語内で鳴り響く。

 

登場人物たちもこれまでに比べ、より感情を排したような無機質さだ。

 

ラルジャン」とはお金を意味し、本作も「スリ」もラルジャもお金にまつわる作品だが、それぞれの展開・結末は対極に位置するような関係だ。

 

どちらも、ブレッソン映画に共通する手の表情を繊細にとらえているのも特徴的。

 

兎に角、ブレッソンの映画美学、その完成系がここにある。

 

カンヌ映画祭監督創造作品大賞。

 

ロベール・ブレッソン監督作品

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年)

抵抗 -死刑囚の手記より-(1957年)

 

ノスタルジア(1983年)

 

ルコフスキーはソ連から亡命し、イタリアで本作を撮影した。

 

美しく幻想的なイメージは、スローな横流し長回し撮りを多様した完璧な構図の連続で、実に神秘的に捉えられている。

 

モノクロで描かれる過去の思いと、カラーで描かれる現代イタリアの対比。

 

死期を悟ったことによる前向きでオープンなアンドレイ、世界の終わりを待ち閉じこもってしまったドメニコの対比。 他にも、光と水、雨と煙、男と女など。

 

ベートーヴェン交響曲第9番ヴェルディのレクイエムがこんなにも似合う映像はそうそう存在しない。

 

ドメニコの住居は、もはや家としての機能を果しているかすら不明なひどい雨漏り。

 

その壁に刻まれた1+1=1の文字は、これらの対比が渾然一体となるタルコフスキー作品を通じる同一化への欲求を満たすことを示している。

 

タルコフスキーの超大傑作だが、映画内にもあるように、詩の翻訳では意味がない、という考えからすると、本作が持つ真の価値に辿り着くのは相当な時間がかかる。

 

カンヌ映画祭監督創造作品大賞。

 

アンドレイ・タルコフスキー監督作品

惑星ソラリス(1972年)

サクリファイス(1986年)

 

アンダーグラウンド(1995年)

 

監督エミール・クストリッツァによる、類まれなるユーモアとシリアスのバランスセンス、アナーキーなパワー溢れる映像、破壊的で強烈なサウンドのジプシー音楽、表裏一体・渾然一体となった奇跡の映画。

 

ユーゴスラビアの歴史が詰まった大河ドラマであり、本作における登場人物たち全体の構図は人類一生の課題であり、一生あらゆる映画におけるラストシーンの最高到達点。

 

エミール・クストリッツァ監督作品全般にいえる説明するのが非常に難しい懐の深さは計り知れない。兎に角、みるしかない。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール

 

戦場のピアニスト(2002年)

 

1940年、ドイツ占領下のポーランド第二次世界大戦ナチスドイツのホロコーストによる極限状態に実在した、ユダヤ系ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン

 

エイドリアン・ブロディが自らこなした、ショパン作曲のピアノ演奏シーンが見事。

 

ポーランドの国民的アーティストの半生を映画化、ロマン・ポランスキー監督自身の原体験が骨子となっている。

 

繊細ながら、その気迫した緊迫感がヒシヒシ伝わってくる生への執着は、剥き出しのリアルを切り取った渾身の一作だ。

 

息を呑む圧巻の荒廃した街の画、悲壮感をかきむしられる空虚なサウンド

 

ディストピア映画として丁寧に作られた世界観は非常に美しくもあるが、戦争の惨たらしさを説得力のある描写でみせつける。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール。 アカデミー監督賞、脚色賞、主演男優賞。

 

カンヌ映画祭映画】最低限みるべきヨーロッパ映画10作品以外の映画たち

パルム・ドール

翼のない男たち(1946年)

第三の男(1949年)

鶴は翔んでゆく(1957年)

甘い生活(1960年)

ビリディアナ(1961年)

男と女(1966年)

鉄の男(1981年)

路(1982年)

永遠と一日(1998年)

オール・アバウト・マイ・マザー(1999年)

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年)

息子の部屋(2001年)

白いリボン(2009年)

愛、アムール(2012年)

雪の轍(2014年)

 

グランプリ

If もしも....(1968年)

アラビアンナイト(1974年)

カラスの飼育(1976年)

シベリアーダ(1979年)

奇跡の海(1996年)

ピアニスト(2001年)

過去のない男(2002年)

 

審査員グランプリ

太陽に灼かれて(1994年)

 

監督賞

親愛なる日記(1994年)

隠された記憶(2005年)

 

審査員賞

殺人に関する短いフィルム(1988年)

 

審査員特別賞

われわれはみな暗殺者(1952年)

 

国際映画批評家連盟

洪水の前(1954年)

大理石の男(1978年)

ふたりのベロニカ(1991年)

ユリシーズの瞳(1995年)

 

まとめ

カンヌ映画祭映画】最低限みておくべきヨーロッパ映画10作品

・恐怖の報酬(1953年)

・第七の封印(1957年)

大人は判ってくれない(1959年)

・山猫(1963年)

・欲望(1967年)

パリ、テキサス1984年)

ラルジャン(1983年)

ノスタルジア(1983年)

アンダーグラウンド(1995年)

戦場のピアニスト(2002年)

 

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