リドスコ発ハリウッドスター総出のカルトムービー
麻薬戦争真っ只中のメキシコとアメリカ国境感で繰り広げられる寓話。リドリー・スコット監督、コーマック・マッカーシー脚本、オールスタームービーによる贅沢な仕様だが、その難解さ、起伏の少ないように感じてしまうストーリー展開、ショッキング描写などにより、高尚な作品なのにも関らず、正当な評価がされないままカルト映画化してしまった。さらにこの映画が持つ無類の面白さは、劇場公開版ではなく、特別編集版にある。万人向けではないがここに記しておく。
目次
- 映画【悪の法則】特別編集版との違い
- 映画【悪の法則】R15からレイティングなしへ
- 映画【悪の法則】リドリー・スコットのこれまでのバージョン違いについて
- 映画【悪の法則】 作品概要
- 映画【悪の法則】 あらすじ・ネタバレ
- 映画【悪の法則】 キャラクター紹介
- 映画【悪の法則】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
- まとめ
映画【悪の法則】特別編集版との違い
特別編集版は、劇場公開版(117 分) よりも 21分長く、時間は137 分となっている。新しいシーン、拡張されたシーン、変更が加わった映像が特徴。
映画【悪の法則】R15からレイティングなしへ
公開当時もR15+指定された攻めた内容の劇場公開版であったが、オリジナル脚本を忠実に描いた無審査となっており、さらに冒とく的な表現や性的な言及が多く含まれている。
尚、この映画の背景、メキシコ麻薬カルテルについてはこちらをチェック↓
映画【悪の法則】リドリー・スコットのこれまでのバージョン違いについて
画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)
代表作でもある「ブレードランナー」は、多数のバージョンで何度もリリースされているし、他にも「エイリアン」「グラディエイター」「キングダム・オブ・ヘブン」についてもバージョン違いが発表されている。
リドリー・スコットは、そんなディレクターズカットの権限を持つ数少ない映画作家だ。
本作ではどのような内容となっているのか、その他詳細は名場面ハイライト(評価・解説・考察)にて。
映画【悪の法則】 作品概要
原題 The Counselor
製作 2013年
製作国 アメリカ
スタッフ
監督 リドリー・スコット
脚本 コーマック・マッカーシー
キャスト
・ディーン・ノリス
・ナタリー・ドーマー
・ロージー・ペレス
他
映画【悪の法則】 あらすじ・ネタバレ
弁護士をしているカウンセラーは、美しい婚約者のローラを深く愛し、結婚を考えていた。 ローラにプロポーズをするため、出張先のアムステルダムで婚約指輪を探すカウンセラー。
彼女に素晴らしいものをと考え過ぎた結果、予算が大幅にオーバーするダイヤを購入して経済的に困窮してしまった。 しかし、カウンセラーが赤字を埋め合わせるために選んだものは、本業の弁護士で地道に稼ぐことではなかった。
彼は手っ取り早く大金を手に入れるため、友人のつてでメキシコの麻薬カルテルに接触し、彼らが625キロの麻薬をシカゴまで運ぶための計画に一度だけ出資することにする。
その報酬は2000万ドル(約22億円)という大金だった。 たった一度だけ参加し、すぐに足を洗えばいい。弁護士として自分の頭脳に絶大的な自信を持つカウンセラーはそうもくろんでいた。
彼は友人ライナーから麻薬カルテルとの仲介人ウェストリーを紹介される。
別の日にテキサス刑務所を訪れたカウンセラーは、殺人で服役している自分の依頼人ルース( ロージー・ペレス)と面会し、スピード違反で捕まった彼女の息子バイヤー(ディーン・ノリス)の保釈を頼まれ、了承する。
その後、麻薬カルテルは計画通り麻薬の入ったドラム缶を乗せたバキュームカーを走らせた。シカゴからは運び屋の男のヘルメットの中に入れて運ぶ予定だったが、なぜか道路にワイヤーが張られており、運び屋の男は首をはねられて即死する。
彼はカウンセラーが数日前に保釈したルースの息子で、麻薬はそのまま何者かに持ち去られてしまった。 計画が狂ったことから、一気に麻薬カルテルの信用を失うカウンセラーたち。
麻薬カルテルの恐ろしさを知り尽くしているウェストリーは、一足早くイギリスへ高跳びし音信不通になってしまう。
身の危険を感じたカウンセラーは、自らもローラと一緒に逃げようとするが彼女は合流前に行方不明になってしまう。
ライナーも殺され、カウンセラーは必死に逃げるが、滞在先のホテルにある1枚のDVDが届く。その中身を再生しなくてもウェストリーから麻薬カルテルの恐ろしさを聞かせられていたので、自分がローラを失ったことと彼女がすでにこの世にいないことを理解して恐怖におののくのだった。
その後、ウェストリーは滞在先のロンドンでハニートラップをしかけられ、全財産のある口座番号とパスワードを奪われて無一文になったあげく、殺人装置「ボリート」を発動されて無残な死を遂げた。
ライナーの愛人であったマルキナは、ライナーとカウンセラーの動きをいち早く察知していた。麻薬カルテルとの取引を台無しにし、ウェストリーの財産を奪って殺した黒幕はマルキナだった。
彼女は手に入れた大金をダイヤに換えて香港へと去っていく。
映画【悪の法則】 キャラクター紹介
カウンセラー
キャスト:マイケル・ファスベンダー
本作の主人公、弁護士でローラは婚約者。
マイケル・ファスベンダーの代表的出演作
イングロリアス・バスターズ、エイリアン: コヴェナント等の印象も記憶に新しいが、リブート版X-MENをプッシュしたい。
エリック/ マグニートー役をチェック↓

ローラ
キャスト:ペネロペ・クルス
カウンセラーの婚約者。
ペネロペ・クルス出演の代表作のひとつであるブロウはこちらをチェック↓

ライナー
キャスト:ハビエル・バルデム
麻薬ビジネスで成功しているが、下品な金の使い方しかできずに、暮らしは派手になる一方。

ウェストリー
キャスト:ブラッド・ピット
裏ビジネスに精通している麻薬カルテルの仲買人。スナッフ・フィルムについても語る、酸も甘いも知っている人物。
ブラット・ピット映画についてはこちらをチェック↓

マルキナ
キャスト:キャメロン・ディアス
ライナーの愛人、ローラの友人。
映画【悪の法則】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
特別編集版と劇場公開版の違いについての考察
画像の引用元:movie-censorship.comより(以下同様)
本作は、コーマック・マッカーシーが書き下ろした原作がオリジナル脚本となっていて、特別編集版は原作に忠実に描かれている。
たとえば、カウンセラーとダイヤモンド ディーラー、およびカウンセラーと麻薬カルテルリーダーの間の哲学的な対話。
特別編集版では、ダイヤモンド ディーラーは、カウンセラーの見栄っ張りを見抜いて、「この世に完璧にものはない」といったダイヤモンドにまつわるうんちくをこねくりまわして、高価なダイヤモンドを買わせるために購買意欲をあおるシーンが拡張されている。
特別編集版での麻薬カルテルリーダーの独白は、中間という意味のハイエイタスのつづりをカウンセラーが指摘するシーンが追加されている。
性的にもオープン・残虐純度を高めた無審査バージョンの内容とは
冒頭のセックスシーンで、カウンセラーとローラがいちゃつくシーンは、より強く性的に。
ライナーは下品なシーンがさらに増量していて、ダンスフロアの必要性などについて語るシーンが追加。
ウェストリーとカウンセラーの対話シーンでも、麻薬カルテルの危険性に関する詳細が加わっている。
ローラが夜マルキナに電話するシーンが追加されていて、性的にあいまいな関係が掘り下げられる。
特に衝撃的なのが処刑器具ボリートの存在
ウェストリーの死亡シーンが拡張されより生々しいものになっていって、本作の特別編集版での白眉である。公衆の面前での大量出血、手の指の切断で派手に散る。救急隊が到着し、死体を担架で運ぼうとすると、首がゴロリと胴体から切り離されてしまい、事務的に元に戻されるホラー演出・ショック描写が大増量。
本作に登場する印象的な殺人器具ボリートは、どのような意味があって使用されたのか考察してみる。
殺人装置として使用されているボリートは、作中のメキシコの麻薬カルテルが使用している殺人装置の名称。
スイッチを入れるとモーターが作動して、自動的に人間の首に巻き付き、最終的には1分でけいどう脈を切断してしまう恐ろしい装置。
ボリートに関して最初は悪に手を染めるカウンセラーに警告の象徴として話の中に登場する。
自分なら悪事を一度犯しても、上手く切り抜けられる。
完全にぬぼれているカウンセラーには、ボリートの恐ろしさは、まったく伝わっていない。
その後も登場するボリートは、安易な気持ちで悪事に手を出す人物に、「悪の法則」が発動した暗示として、印象的な使われ方をしている。
ちなみに、実在はせず、架空の道具のよう。
尚、ダリオ・アルジェント監督の作品の1つに、「トラウマ」(1993年)という映画がある。この映画では、ボリートに似た首切断・殺人マシンが登場し、首切り祭りが開催される。
ダリオ・アルジェント監督「トラウマ」(1993年)のボリートはこちらをチェック↓
まとめ
・特別編集版との違い 映画
・R15からレイティングなしへ 映画
・リドリー・スコットのこれまでのバージョン違いについて
・作品概要
・あらすじ・ネタバレ
・キャラクター紹介
・特別編集版と劇場公開版の違いについての考察
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