ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

映画【バリー・シール】実話の映画化(トム・クルーズが演じるナルコスとの違いとは?音楽の使い方にも注目)

トム・クルーズ版バリー・シールの脚色について

ナルコストにはおなじみのバリー・シール。とはいえ、ナルコスでの出演はほんのわずか。映画版はバリー・シールの生涯を描いた実録犯罪映画。1970年代にパブロ・エスコバル率いるメデジン・カルテルのコカインの運び屋として、麻薬の密輸で巨万の富を築いた実在の人物。トム・クルーズが演じることで、「グッドフェローズ」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような、楽しい豪華エンタメ映画・ジェットコースタームービーになっている。そこで、今回は実在のバリー・シール との違いについて迫ってみたい【永久保存版】。

 

目次

「バリー・シール/アメリカをはめた男」ナルコスが好きなら一番アガるシーン

何と言っても、トム・クルーズ演じるバリー・シールが、ホルヘ・オチョア、カルロス・レデル、パブロ・エスコバルとの対面シーンはゾクゾクする!

 

ナルコス内に登場するバリー・シールについてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」見せ場にあわせたサントラは必聴

スタートアップ期・絶好調期・没落期、それぞれの見せ場にあわせた、サントラが極上の仕上がりで、アゲアゲ!!

 

記事の冒頭に書いた通り、マーティン・スコセッシの「グッドフェローズ」、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような音楽の使い方が特徴的。

 

時代に合わせたサントラはもちろんのこと、前のシーンの終わりから音が鳴り始め、次のシーンにも重なっていて、さらにスピーディな展開の編集。

 

この効果により、独特なテンポが生まれ、やっていることはめちゃくちゃなのにコメディー感が高まり、豪華なエンタメ要素を強めた、ジェットコースタームービーになっている。

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」トム・クローズ論

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画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)

 

トム・クローズは、大出世の「トップガン」による大ヒット以降もおごる事なく、名監督・名俳優らビックネームらとのつながりを持ち、経験値・人脈を蓄え、この時の体験がのちのさらなる成功の礎となっている。

 

具体的には、「ハスラー2」では マーティン・スコセッシポール・ニューマン、「レインマン」では、バリー・レヴィンソン、ダスティン・ホフマン、「7月4日に生まれて」では オリバー・ストーン、「ア・フュー・グッドメン」ではロブ・ライナージャック・ニコルソン、「ザ・ファーム 法律事務所」ではジーン・ハックマンといった面々。

 

そして、満を辞して挑んだ「ミッション・インポッシブル」の1作目から製作・主演といったネクストステージに到達し、監督や共演者の抜擢センスを発揮し、映画を全体をコントロールする事で、さらなるスーパースター街道を爆進する。

 

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でも共演した、同じく製作・主演路線で名を馳せ、富を築くのが同世代のブラット・ピット。だが、両者は似て非なる存在で、事情がやや異なる。

 

ブラッド・ピッドとトム・クルーズの違いは、映画に対してスタンスの様に感じる。

 

自身もシネフィルとして知られるくらいの映画好きで、映画そのものに出資するブラピに対して、あくまで自分が最大限に輝きつつ、まわりも引き立てるために出資するのがトム・クルーズだ。

 

このスタンスは、トム・クルーズの初主演「卒業白書」の時から顕著に現れていて、フランシス・F・コッポラの「アウトサイダー」の出番を減らしてもらってまで、「卒業白書」に注力していたというエピソードもあるくらいだ。

 

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この様に、トム・クルーズは製作・主演として自身のやりたいことを実現させつつ、並行して有名映画人らと常に話題作に出ずっぱりといったハリウッドで第一線で活躍し続けてきた稀有な存在だ。

 

一例として、「ザ・エージェント」「バニラ・スカイ」ではキャメロン・クロウ、「アイズ・ワイド・シャット」ではスタンリー・キューブリック、「マグノリア」は、ポール・トーマス・アンダーソン、「マイノリティ・リポート」・「宇宙戦争」ではスティーヴン・スピルバーグ、「コラテラル」ではマイケル・マンなど。

 

本作でトム・クルーズは製作にクレジットされていないが、得意のパイロット役に挑みつつ、現実とは異なる甘いバリー・シール像を作り出し、現実的などろどろした麻薬に絡む利権やバイオレンスシーンなどは極力抑えられていて、浮世離れした豪華な生活に焦点を当てたある種のファンタジーになっている。

 

「Mr.&Mrs. スミス」でブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの殺し屋夫婦を描いたお伽噺での功績から同様な作風にしたかった意向があったのか、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に続き、ダグ・リーマンがフックアップされたと思われる。

 

本作でトム・クルーズ作品として2度目の監督となるダグ・リーマンとは相性がピッタリだ。

 

その他詳細は、名場面ハイライト(評価・解説・考察)にて。

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」作品概要

Tom Cruise and Sarah Wright in American Made (2017)

原題 American Made

製作 2017年
製作国 アメリ

 

スタッフ

監督 ダグ・リーマン

製作 ブライアン・グレイザー

   タイラー・トンプソン

   ダグ・デイビソン

   キム・ロス

脚本 ゲイリー・スピネッリ

音楽 クリストフ・ベック

撮影 セザール・シャローン

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」あらすじ・ネタバレ

1970年代後半、バリー・シールはアメリカの大手航空会社、トランス・ワールド航空 (TWA)に勤務しているパイロットとして物語ははじまる。

 

その腕前は超一流、20代の若さで機長にのぼりつめるほど。

 

しかし、バリーは機長として活躍している一方、検査が甘くなる自身の立場を利用して密輸にも手を染めるなど、品行方正な人物ではなかった。

 

そんなバリーのもとに、CIAから極秘任務の話がくる。

 

これまで密輸を重ねてきた事実に目をつぶることを条件に、彼の飛行技術の高さに着目して中米への偵察を任せたいと言うのである。

 

バリーは条件をのみ、TWAを退社してCIAの協力をスタートさせた。

 

表向きはCIAが作った架空の会社に所属するパイロットをよそおい、中米とアメリカを行き来して、偵察を行うバリー。

 

このような生活を続けることで、バリーはパナマの独裁者であるマヌエル・ノリエガと、CIAとのパイプラインを築く役割を果たしていく。

 

CIAにとって中米偵察のために、バリーは欠かせない重要人物となり、高額な報酬はバリー家族を支えていた。

 

最初はバリーがTWAを退社したことに怒りを感じていた妻ルーシーも、やがてバリーの任務を理解し、留守中の時は家庭をしっかり預かるパートナーとして心強い存在となっていった。

 

しかし、TWA時代から密輸に手を染めていたバリーは、CIAの任務だけにとどまらない活動をひろげていく。

 

バリーはアメリカと中米とを往復する中で、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルと知り合う。

 

パブロ・エスコバル率いる、コロンビア最大の麻薬組織、メデジン・カルテルの麻薬をアメリカ本国へ密輸する任務をCIAの任務と同時進行で請け負うことにする。

 

バリーの仕事は大成功し、毎日使い切れないほどのお金が手元に入るようになり、銀行にも預かれないほど潤うようになり、豪華な暮らしは、何の産業もない街そのものの発展に貢献するほど影響を及ぼす様になる。

 

しかしある日、バリーの妻の弟、JBがやってくると事態が暗転する。

 

JBは問題ばかり起こし、ついには逮捕されてしまう。

 

バリーはJBの問題行動をパブロたちに相談したところ、パブロたちがその問題解決を請け負うことになる。

 

JBはパブロの部下が車に仕掛けた爆弾により爆死。

 

JBの問題は去ったものの、ついに麻薬取締局(DEA)、ATF、州警察、FBIがバリー逮捕に向けて、動き出す。

 

当初、CIAは麻薬密輸を黙認していたものの、バリーを切り捨てようと考えるようになる。

 

逮捕されたバリーは、窮地に立たされるものの、ホワイトハウスからのある取引と引き換えに釈放される。しかし、その取引内容はメデジン・カルテルを裏切るものであった。

 

しかも、秘密裏に行われるはずであった、その取引内容が公に公開されてしまったため、バリーは死期を悟り、最後の準備を整え始める。

 

釈放条件であった社会奉仕1000時間を達成するために、バリーは毎日モーテルを変えて点々としていたが、ついにコロンビアの麻薬カルテルに粛清されてしまう。

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」キャラクター紹介

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バリー・シール


キャスト
トム・クルーズ

 

本作の主人公。

 

10代の頃から飛行機の操縦を始め、20代でTWA機長ののぼりつめる、その腕前は天才的。

  

性格は陽気で破天荒で、どこか憎めない人物。

 

ルーシー・シール(写真:右)

 

キャスト:サラ・ライトオルセン

 

バリーの妻。

 

ずっと夫がTWAのパイロットを行っていると思っていたが、突然アーカンソー州ミーナに引っ越してから真実を知って激怒する。

 

その反面、夫の人柄を誰よりも愛しているよき理解者。

 

献身的で、かしこく美人でセクシー、理想的なパートナーを体現。

 

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モンティ・シェイファー

 

キャスト:ドーナル・グリーソン

 

バリーがCIAに雇われた後の直属の上司。

 

バリーの才能を認めている一方、心に内なるものを秘めている。

 

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メデジン・カルテル

 

・パブロ・エスコバル(写真:左)

キャスト:マウリシオ・メヒア 

 

・ホルヘ・オチョア(写真:右)

キャスト:アレハンドロ・エッダ

 

・カルロス・レデル(写真:中)

キャスト:フレディ・ヤテ・エスコバー

 

メデジン・カルテルについてはこちらをチェック↓

narcos.hatenablog.com

 

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JB(写真:左)

 

キャスト:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

 

バリーの妻の弟。

 

前科があり、仕事もろくにせず、厄介ごとばかり起こす問題児。

 

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デイナ・シボタ

 

キャスト:ジェイマ・メイズ

 

アメリカの司法長官。バリー・シールの逮捕に躍起になっている。

 

DEA、ATF、州警察、FBIに拘束されるも、ホワイトハウスからの命令により納得がいかないが、バリー・シールを釈放する。

 

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バリー・シールの助手

 

ピート(写真:中右)

キャスト:ウィリアム・マーク・マカロー

 

ビル(写真:中左)

キャスト:ジェイソン・ワーナー・スミス

 

スタン(写真:左)

 

ボブ(写真:右)

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」名場面ハイライト(評価・解説・考察)

 

実在と映画のバリー・シールの違い 

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※実在のバリー・シール

 

バリー・シールは1970年代に、パイロットの仕事につき、CIAの任務をこなしながら、麻薬密輸に手を染めた実在の人物。

 

この作品以前にも2回ほど映像化されて、デニス・ホッパーマイケル・パレがバリー役をつとめた。

 

今回トム・クルーズが演じたバリー・シールと、実際の本人との最大の違いはルックスである。

 

実際のバリー・シールは、ハンサムと言えるものの、もっと地味でどこにでもいる、一般市民のようなルックスである。

 

さらに、バリー・シール自身の体型は、年相応にずんぐりむっくりとしている。

 

実際のバリー・シールの体型に近かったのは、彼の写真を基に役作りしたマイケル・パレだと言われている。

 

ダグ・リーマン監督は、「本作ではいつものように、髪型を気にしないトムが見られる」とコメント。

 

映画の中で、さっそうと飛行機を操縦するトム・クルーズのようなシャープさは、まったくない。

 

ラブストーリーも脚色

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これも映画と実在の大きな違いの一つ。

 

また、バリー・シールは本来、3回結婚していて、映画の中に登場する最愛の妻、ルーシーは実在しない。

 

彼女のモデルは、バリーの3人目の妻、デビー・シール。

 

デビーはこの映画の制作に積極的に参加している。

 

現存するバリーの写真やビデオなど、貴重なプライベートの資料を提供。

 

これがルーシーというヒロインのキャラクターを作るために非常に役立った。

 

特に、バリーの誕生日をお祝いするために、グアテマラの刑務所へ向かったデビーの行動力や、なたを使ってバースデーケーキをカットしている、バリーとデビーの破天荒さに圧倒されたという。

 

ダグ・リーマン監督とトム・クルーズは、「ぜひ2人のラブストーリーを映画にしたい」と感じたとのこと。

 

スタートアップ期・絶好調・没落期サントラ解説

使われてるサウンドトラックは次の通り。

 

スタートアップ期

1曲目:A FIFTH OF BEETHOVEN(運命’76)

オープニング。

 

2曲目:ONE WAY OUT
モンティ・シェイファーと交渉成立後のテストフライト。


3曲目:BLUE BAYOU
バリーがオチョアと初対面し、ヘリに搭乗して、コカインについて話している時。

 

12曲目:HEADING TO THE STATES

バリーが初フライト成功時。

 

成功期

4曲目:EGURO LO HARA OTRO
バリーが密輸ミッションを成功させ、オチョア邸でお祝いシーン。

 

5曲目:BLACK WIDOW BLUES

シール一家がルイジアナ州バトンルージュからアーカンソー州ミーナに引っ越す道中。


6曲目:HOOKED ON CLASSICS (PART 1 & 2)

バリーの密輸ビジネスが大成功し、満喫中のシーン(トムのお尻・ヘリでの無重力ファックシーン!)。

 

没落期

・サントラ未収録:Slippery People/Talking Heads

バリーがDEA、ATF、州警察、FBIに拘束されるも、釈放された後に流れる曲。

 

・サントラ未収録:Wah-Wah /George Harrison

さいごのシーン〜エンドクレジットの途中まで。

 

まとめ

トム・クルーズ版バリー・シールの脚色により、楽しいエンタメ映画に!

・ナルコスが好きなら一番アガるシーンは、パブロ・エスコバルなどとの対面シーン

・見せ場にあわせたサントラは必聴

トム・クルーズ

・あらすじ・ネタバレ

・キャラクター紹介

・実在と映画のバリー・シールの違いはルックス

・ラブストーリーも脚色

・スタートアップ期・絶好調・没落期サントラ解説

 

PS.個人的【トム・クルーズ映画】ランキング

1.トップガン マーヴェリック

2.コラテラル

3.バリー・シール/アメリカをはめた男

4.マイノリティー・リポート

5.アウトロー

6.マグノリア

7.バニラスカイ

8.ハスラー2

9.卒業白書

10.トップガン、デイズ・オブ・サンダー

 

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