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【韓国映画名作ランキング1999〜2019年】日本映画誌が選ぶ珠玉の50選

映画誌の数値を集計した韓国映画ランキングの作品とは

日本を代表する映画雑誌が選出した、韓国映画の“隠れた名作”から“国民的大ヒット作”までを厳選!1999年〜2019年に公開されたおすすめ作品を一挙紹介。ポン・ジュノの最新作「半地下の家族」はとんでもない快挙を成し遂げた。今回は、日本を代表する映画雑誌、キネマ旬報映画秘宝の双方から年間ランキングを集計し、その結果をランキング。本当におもしろい韓国映画はここにある。全50作品【永久保存版】。

 

目次

韓国映画】1999年以降生まれ変わった

1984韓国映画アカデミーが設立され、1999年「シュリ」の公開を筆頭に、2000年代に韓国映画ルネサンス黄金期を迎える。

 

ポン・ジュノの他にも、韓国映画四天王と呼ばれるキム・ギドクイ・チャンドンパク・チャヌク

 

他にも有名監督のキム・ジウンキム・テギュン、ナ・ホンジン、イ・ジョンボム、チョン・チョルズなどがいる。

 

韓国映画ポン・ジュノ

その韓国映画アカデミーの卒業生であり、韓国で最も高く評価されている映画作家の1人であるポン・ジュノの経歴を確認することで、韓国映画史がだいたいつかめる。

 

ポン・ジュノ韓国映画アカデミー卒業後、オムニバス映画や短編映画で技術を磨き、2000年のダークコメディ「ほえる犬は噛まない」で長編映画初監督とデビューし、脚本も務めた。

 

続く、2003年の「殺人の追憶」と2006年の「グエムル 漢江の怪物」では、韓国で実際に起きた事件をモチーフにして作品を製作し、大ヒットを記録する。

 

それぞれの作品でこれまでの韓国での興行記録を破る新記録を達成。

 

その後、2009年「母なる証明」がカンヌ国際映画祭のある視点部門で上映され、韓国の映画祭である青龍映画賞で最優秀作品賞を受賞する。

 

2013年「スノーピアサー」では、ポン・ジュノ初の英語作品となり、クリス・エバンスら欧米のキャストが出演した。

 

2017年Netflixオリジナル映画「オクジャ okja」がカンヌ国際映画祭ノア・バームバック監督の「マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)」と共に配信作品としてはじめてパルム・ドールを争った。

 

このときのカンヌ国際映画祭では、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」がパルム・ドールを受賞した。

 

2019 年 5 月に「パラサイト」がカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、韓国映画として初めてパルムドールを受賞。

 

アカデミー賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の主要4賞を受賞。

 

アカデミー作品賞を受賞した初の英語以外の映画であり、また同賞を受賞した初の韓国映画となった。

 

韓国映画ランキングポンジュノパラサイト

※画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)

 

パルム・ドールとアカデミー作品賞のW受賞といった偉業は、60年以上ぶりの歴史的快挙。

 

映画史を振り返ってみても、「失われた週末」(1945年)、「マーティ」(1955年)の2作しかなく、「パラサイト」が3作目となった。

 

さらに言えば、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーミケランジェロ・アントニオーニロバート・アルトマンに続き、ポン・ジュノは世界三大映画祭を制覇(最高賞を受賞する)といった頂点を極める4人目の映画作家となる可能性すら大いに秘めている。

 

ポン・ジュノフィルモグラフィーに刻まれている特徴としては、韓国社会を強く批判し、様々なジャンル映画を制作しつつジャンルがミックスされる、ブラックユーモア、突然のトーンシフトなどがみられる。

 

主な監督作が7作品しかないのにも関わらず、どれもが興行的&批評的に大成功していて、これだけの功績をあげている稀有な存在。

 

そのポン・ジュノ作品において、ほとんどの主演を務めるのが韓国の国民的俳優ソン・ガンホだ。

 

韓国映画羅針盤となるパラサイトが誕生した2019年

「パラサイト」は、ポン・ジュノの最新作にして、殿堂入りした大傑作。

 

韓国映画界が目指してきた到達点にして、以降は「パラサイト」以前・以降という金字塔となった。

 

「パラサイト」は、韓国の階級闘争についての映画で、韓国人の生活水準がどのようなものであるかをはっきりわからせるものである。

 

韓国では、若者の失業率が高く、高等教育を追求するという厳しい現実があり、富裕層と貧困層との社会経済的格差が拡大しているために生まれた映画である。

 

下層労働者階級で働く貧しい家族は、古くて窮屈な半地下のアパートに住んでいる。

 

一方、裕福な家族は、有名な建築家によって設計されたモダニズムな邸宅で生活している。

 

半地下のアパートは、カビや病気のリスクが高いなどの問題があるにもかかわらず、家賃が安いため、ソウルの貧しい人々によくみられる傾向。

 

映画のタイトルである「パラサイト」は、ダブルミーニングとなっていて、どちらも寄生虫を意味しているとのこと。

 

それは、貧しい家族が金持ちの家に潜入して忍び寄るというものと、裕福な家庭は家事も運転も自分ではできないので、貧しい労働者に頼り切っているということを示している。

 

韓国映画】ランキング集計のシンプルなルール

個人的な主観や、興行成績だけでは偏ってしまうし、本当に面白いものかどうか信用性に欠ける。

 

そこで劇場公開時のデータを参考にするため、キネ旬映画秘宝のランキングを基にランクベスト30までを選出。

 

これでも、その年の他の映画の出来・不出来に左右されるし、秘宝は洋邦ミックスのランキングだから、100%ではないかもしれない。

 

しかし、リアルタイムの評価に絞れば、本当に面白いものが選出される可能性は高いはず。

 

1〜10位までを100〜10点にて評価、11〜20位までは9〜1点、21〜30位までについては、0.9〜0.1点。

 

それではランキングにいってみましょう。

 

まずは、次点となった作品について。

 

こちらも見逃せない作品がズラリ。

 

韓国映画】ランキング(1999〜2019年)

韓国映画】ランキング50〜31位:珠玉の20作品

(Pointは雑誌側の総合評価)

49位 アシュラ(2016年) 0.1Point

 

44位 ムサン日記~白い犬(2010年) 0.2Point

 

44位 マルチュク青春通り(2004年) 0.2Point 

 

44位 サマリア(2004年) 0.2Point

 

44位 ビー・デビル(2010年) 0.2Point

 

44位 火山高(2001年)0.2Point

 

43位 親切なクムジャさん(2005年) 0.4Point

 

41位 LIES/嘘(1999年) 0.5Point

 

41位 クロッシング(2008年) 0.5Point

 

38位 悪女/AKUJO(2017年) 0.6Point

 

38位 ほえる犬は噛まない(2000年) 0.6Point

 

38位 新しき世界(2013年) 0.6Point

 

37位 渇き(2009年) 0.8Point

 

36位 ブラザーフッド(2004年) 0.9Point

 

35位 友へチング(2001年) 2Point

 

34位 王の男(2006年)3Point

 

32位 悪い男(2001年) 4Point

 

32位 シークレットサンシャイン(2007年) 4Point

 

31位 魚と寝る女(2000年)5Point

韓国映画】ランキング30〜11位:隠れた名作の20作品

30位 猟奇的な彼女(2001年) 5.2Point

 

28位 うつせみ(2004年)6Point

 

28位 グッドバッドウィアード(2008年)6Point

 

27位 ポエトリー アグネスの詩(2010年)8Point

 

25位 哭声/コクソン (2016年)9point

 

25位 嘆きのピエタ(2012年) 9point

 

22位 ペパーミントキャンディ(1999年)10Point

 

22位 バーニング 劇場版(2018年)10Point

 

22位 サニー 永遠の仲間たち(2011年) 10Point

 

21位 シルミド SILMIDO(2003年)10.1Point

 

20位 工作 黒金星と呼ばれた男(2018年)10.2Point

 

19位 お嬢さん(2016年)11Point

 

18位 シュリ(1999年)14Point

 

16位 アジョシ(2010年)20Point

 

16位 春夏秋冬そして春(2003年)20Point

 

15位 冬の小鳥(2009年) 30Point

 

14位 1987、ある戦いの真実(2017年) 30.8Point

 

13位 哀しき獣(2010年)41Point

 

12位 タクシー運転手(2016年)45Point

 

11位 大統領の理髪師(2004年) 50Point

キネ旬5位、映画秘宝ランキングなし)

 

韓国映画】ランキングベスト10:韓国映画の精髄を堪能せよ

10位 オールドボーイ(2003年) 58Point

キネ旬6位、映画秘宝12位)

韓国映画ランキングオールドボーイ

監督:パク・チャヌク

脚本:ワン・ジョユン

   イム・ジュンヒュン

   パク・チャヌク

出演:チェ・ミンシク

   ユ・ジテ

   カン・ヘジョン

   チ・デハン

時間:120分

復讐3部作の中核であり、チェ・ミンシクの代表作。緊迫の展開と衝撃的結末で世界を震撼させた。

 

パク・チャヌク監督の復讐3部作の第2弾であり、どれも違ったよさがある3部作だが、衝撃度で言えば3部作の中で随一。

 

ちなみに1作目は「復讐者に憐みを」、3作目は「親切なクムジャさん」であり、それぞれを形容するなら、1作目は鬼畜さ、3作目は美しさである。

 

話の展開は先行き不透明で皆目見当がつかず、緊張感が途切れずにひた進み、よくこんなこと思いつくなというエグさは天下一品で、鑑賞をはじめたら途中下車不可避。

 

また、生涯忘れることも出来ないほどに脳裏に刻まれること必須。

 

主演のチェ・ミンシクにおいても、傑作揃いのフィルモグラフィーを持つが、その中でも大出世作として知られる当たり役である。

 

「シュリ」韓国映画知名度をあげるのに貢献したとするなら、 本作は真の意味で 韓国映画の完成度の高さを世界に知らしめることに成功したターニングポイントとなった作品。

 

カンヌ映画祭グランプリ。 

 

なお、本作は2013年にスパイク・リー監督によりハリウッド・リメイクされた。

 

出演はジョシュ・ブローリンシャールト・コプリーエリザベス・オルセンサミュエル・L・ジャクソンなどの豪華な面子が揃っている。

 

ちなみに、原作は土屋ガロンの「ルーズ戦記 オールドボーイ」、国内で映画化はされずに国際色豊かな広がりをみせた。

 

9位 JSA(2000年) 60Point

キネ旬5位)

韓国映画ランキングJSA

監督:パク・チャヌク

脚本:キム・ヒョンソク

   イ・ムヨン

   チョン・ソンサン

   パク・チャヌク

出演:ソン・ガンホ

   イ・ビョンホン

   イ・ヨンエ

時間:110分 

 

パク・チャヌク監督作。韓国軍兵士をイ・ビョンホン北朝鮮兵士をソン・ガンホ、スイス軍将校をイ・ヨンエといった超豪華スリートップが集結。

 

韓国・北朝鮮を分断している38度線において共同警備区域(Joint Security Area)に駐屯する韓国と北朝鮮の兵士が小競り合いから事件へと発展する。

 

国家の対立を背景としているため、証言が食い違うところから、中立国による調査が入るが、浮かび上がる真実に戦慄を覚える問題作。

 

「シュリ」は正直この作品に比べるとお遊びが過ぎている面がある。

 

本当の意味で、韓国映画の新時代の到来を告げた実力派は本作というのは周知の事実。

 

南北問題を絡めた時系列をスリーパートに別けて構成。

 

羅生門」スタイルの第1部から始まり、ホモソーシャル全開の第2部で深掘りして、真相が判明する第3部で爆上げ。

 

ここまで至れり尽せりだと涙が止まらない。

 

ラストショットに映る写真まで巧妙に作り込まれた南北対立映画の中でも飛び抜けた大傑作。

 

世界へ向けてみるものに、心の刃を突き立てた本格韓国映画

 

8位 オアシス(2002年) 70Point

キネ旬4位)

韓国映画ランキングオアシス

監督:イ・チャンドン

脚本:イ・チャンドン

出演:ソル・ギョング

   ムン・ソリ

時間:133分 

 

イ・チャンドンが描く社会からのはみ出し者同士の愛を描き、名優による渾身の演技は暗黙の了解という名を打ち破った非常識なラブストーリー。

 

社会的弱者同士の恋をリアルに描く問題作。脳性麻痺の女性と前科者の青年、世間から取り残されたふたりの非常識な愛に、観客の価値観が揺さぶられる。

 

変態なのか偏愛なのか、兎に角、歪んでいるのは間違いない。

 

出所したてのアウトサイダーソル・ギョングが、重度の障害者女性に恋をするという今までありそうでなかった映画。

 

何が非常識かと言えば、障害者だからと言って、オブラートに包む事もなく、美しくも写さない、剥き出し感。

 

脳性麻痺女性のムン・ソリは、初登場シーンから目に焼き付いて離れなくなる本気仕様。

 

みるものを圧倒する容赦のない身体障害者表現で、正直言って美しくない女性を熱演する。

 

よく言えば平等に描かれたこの映画の衝撃、それだけに社会のはみ出し者同士が育む愛が儚く、美しく感じるのは映画の魔術なのか、はたまた幻か。

 

鑑賞者の心に、良くも悪くも必ず爪痕が残る。

 

例え、それが幻想だったとしても。

 

そう、この映画のように。

 

ヴェネツィア映画祭監督賞、新人演技賞、国際批評家協会賞。

 

6位 新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年) 90Point

映画秘宝2位)

韓国映画ランキング新感線

監督:ヨン・サンホ

脚本:パク・ジュスク

   ジョースーク・パーク

出演:コン・ユ

   チョン・ユミ

   マ・ドンソク

時間:118分

 

ロメロ型の直系ゾンビ(ダッシュ系)映画の系譜を持つ本作「新感染」は、時速300キロ以上で走行中の高速鉄道の車内が主な舞台を生かした発想が素晴らしい。

 

これにより、スピード感が溢れつつ、密室での閉塞感による恐怖効果が増すことに成功。

 

また、その中での出来事により、人間ドラマが交互に描かれる緩急のつけ方が見事。

 

そして、未曾有のパニックムービーながら、列車内のゾンビを通じて、自己中心的だった父娘の成長物語にもなっている。

 

これは、「グエムル」などのように家族の絆が深まるテーマにおいて共通するものがある。

 

ギレルモ・デル・トロエドガー・ライトイーライ・ロス、ジェームス・ガンなど世界の映画関係者も大賞賛。

 

韓国では、観客動員数は1,156万人を突破し、No.1ヒットを記録した。

 

なお、前日譚を描くアニメ映画「ソウル・ステーション/パンデミック」があり、こちらもあわせて鑑賞することで作品への愛がより深まる。

 

6位はちどり(2018年)90Point

キネ旬2位)

韓国映画ランキングはちどり

監督:キム・ボラ

脚本:キム・ボラ

出演:パク・ジフ

   キム・セビョク

   イ・スンヨン

   チョン・インギ

   パク・スヨン

時間:138分

 

1994年、高度経済成長期の韓国・ソウルを舞台にした、団地に住む家族の物語。

 

「顔を知っている人はいても、本心を知っている人は何人いる?」

 

この印象的な台詞のように、当時の社会や家族から女性への抑圧された扱いをノスタルジーかつスタイリッシュな映像で炙り出し、テーマと映像が見事に一体化している。

 

痛みを伴う青春を描き、全編が14歳である少女の視線から見た日々を丹念に綴っている。

 

まさにその想いがタイトルに込められているように、一見地味ながら、その水面下で高速回転する映画的技術力の推進により、完成度の底上げに成功している、軌跡の作品。

 

本作が長編デビュー作となる監督キム・ボラは、自身が体験した少女時代の体験をもとに製作、圧倒的な完成度を示した。

 

5位 チェイサー(2008年)  130Point

キネ旬2位、映画秘宝7位)

韓国映画ランキングチェイサー

監督:ナ・ホンジン

脚本:ナ・ホンジン

出演:キム・ユンソク

   ハ・ジョンウ

   ソ・ヨンヒ

時間:125分

 

2000年代初めに韓国ソウルで起きた猟奇的殺人事件をモデルにしており、韓国史上最悪の連続殺人鬼として、当時世間を震撼させた通称レインコートキラーが暴れまくる。

 

そのレインコートキラーとして知られるユ・ヨンチョルは当時34歳。

 

資産家やデリヘル嬢など約20人を主に鈍器で殺害、切断して埋めるといった凶悪な事件を繰り返した悪名の高さで知られている。

 

本作では、捉え所のなく、人を喰ったサイコ殺人鬼の動機となる人物造形のリアルさは特筆に値する。

 

なお、実際の事件については、Netflixオリジナルドキュメンタリー「レインコートキラー:ソウル20人連続殺人事件」にて配信中。

 

「チェイサー」というタイトル通り、追う者と追われる者を描いた作品。

 

特に、序盤は追跡シーンでの緩急のついた細かいカット割に切り替わ流。

 

響き渡る低音と相まって、スピード感を急速ピッチに切り替え、抑揚のある編集が特徴的となっていて、あおり方が見事。

 

また、鈍器のリアルな打撃音、生々しい残酷描写、アクション演出もうまい。 

 

サスペンスを盛りあげるために作中のほとんどが、雨が降り続けてじめっとした画作りなのも相まって、韓国版「セブン」とも評されており、「殺人の追憶」にも通じ、非常に湿度が高い。

 

ナ・ホンジン監督のデビュー作から開眼している鬼畜のセンス(車、風俗嬢、その変態の客、子ども、ハンマーと杭、汚いタイルの浴室、血、髪の毛、たばこ、キリスト像、犬、ゴルフクラブ、水槽、鍵、泥など)が細部まで緻密さが行き届いており、さらなる相乗効果を織りなす。

  

4位 息もできない(2008年) 150Point

キネ旬1位、映画秘宝6位)

韓国映画ランキング息もできない

監督:ヤン・イクチュン

脚本:ヤン・イクチュン

出演:ヤン・イクチュン

   キム・コッピ

時間:130分

社会的弱者同士の“非常識な愛”を描き、心に残る台詞「シバラマァ〜!!!」でも話題に。

 

底辺社会を表す糞蝿という原題が表す通り、主人公は荒んだ家庭環境で育ったことにより、心に傷を負ってい流。

 

手荒い借金取り稼業を生業とし、暴力にまみれた生活を送っている。

 

劇中なんども繰り返される「シバラマァ〜!!!」というワードが、まさに糞蝿のように脳裏にたかってきて、しばらく口癖になる事必須。


兎に角、童貞くささが全編に渡って溢れ、暴力での自己表現法が目立つ。

 

古くは「狂い咲きサンダーロード」や、地球の反対側で製作されたブラジル映画シティ・オブ・ゴッド」に通じる、セックス描写なき、童貞感ただよう男子映画。

 

「殴る奴は自分は殴られないと思っている」 といった印象的な台詞が飛び出してくるほど荒々しい内容ではあるが、ある女子高生との出会いをきっかけに変化がみられる。

 

2人はどことなく似た匂いを感じることで、次第に惹かれあい、変わっていく関係性の描写が素晴らしく、闇堕ちからの転生劇として救いがもたらされる。

 

製作・監督・脚本・編集・主演を務めたヤン・イクチェンだが、カメラが揺れまくっているのが気になって仕方がないほど魂がこもったインディーズ路線。

 

韓国映画ルネッサンス期にありながら、その恩恵を受けておらず、韓国映画アカデミー出身ではない俳優叩き上げが撮った特別の映画。

 

2位 母なる証明(2009年) 170Point

キネ旬2位、映画秘宝3位)

韓国映画ランキング母なる証明

監督:ポン・ジュノ

脚本:パク・ウンギョ

   ポン・ジュノ

出演:キム・ヘジャ

   ウォン・ビン

時間:129分

 

2位は同率で2作品のどちらも170Pointの高評価。本作は母と息子の深い愛を描いた傑作。

 

知的障害を持つ息子の無実を信じ、真犯人を追う母。 静かな怒りと愛情が渦巻くヒューマン・サスペンス。ポン・ジュノ監督の真骨頂とも言える1作。

 

母と子の感動作という安易な期待をして鑑賞をはじめると後悔する可能性すら孕んだ危険な面白さを秘めている。

 

安パイかと思われたが実は超危険牌だという認識は開幕早々を飾る印象的な音楽とダンスからしてその意気込みが濃厚に漂ってくる。

 

その後も、オープニングから時系列が入れ替わり、安全領域からみるものを突き放し、怒涛の典型の連続により、想像から遥か遠いところに着地する晴天の霹靂映画。

 

ポン・ジュノが国民的女優であるキム・ヘジャの良妻賢母イメージを払拭させ、新境地開拓すべき、脚本を書き下ろし、その役割を果たすことに成功した換骨奪胎作品。

 

兵役を終えて5年振りとなる復帰作での知的障害の名演技を披露するウォン・ビンの熱演。

 

その相性良さも重なり、キム・ヘジャ演じる母親は、愛を超えた、一種の凶器じみた体当たり演技で見事にその試みは開花した。

 

そして、怒涛の展開の果てに訪れるクライマックスは、オープニングと同じ音楽が流れるラストダンスだ。

 

この「悪魔のいけにえ」的なカタルシスを感じる事が出来る秀逸さは、「パラサイト」誕生前では「殺人の追憶」と双璧をなすポン・ジュノの代表作。

 

2位 殺人の追憶(2003年) 170Point

キネ旬2位、映画秘宝3位)

韓国映画ランキング殺人の追憶

監督:ポン・ジュノ

脚本:ポン・ジュノ

   シム・ソンボ

出演:ソン・ガンホ

   キム・サンギョン

   パク・ヘイル

時間:130分

 

「パラサイト」以前のポン・ジュノの最高傑作として、実際の事件である華城連続殺人事件を題材にした傑作サスペンス。

 

緊迫感ある捜査劇と警察の無力さを描き、韓国映画界のレベルの高さを世界に示した1作。

 

監督2作目にして、緻密な構成を極め、画も音も「吠える犬はかまない」から大きな飛躍を遂げ、段違いにスケールアップし、大傑作となったマスターピース

 

1980年代後半に農村で起こった、韓国全土を揺るがし震撼させた、連続婦女暴行殺人である「華城連続殺人事件」を題材とした作品。

 

地元の刑事とソウル市警から派遣されてきた刑事が対立しながらも事件の真相を追い求める。

 

2人は対照的な人格で、捜査方法の違いもあるが、犯人を捉えたい一心で共に活動する。

 

そのうちに、バディを形成していく人間ドラマは、韓国映画ならではの泥臭さがあり、熱いものが繰り広げられる。

 

コメディタッチの前半からグラデーション的に緊張感が加速し、気がつけばシリアスな展開に釘付けにされる吸引力、没入度は極めて高い。 

 

この映画の中心にあるのは、犯人が誰なのかという事件解決のサスペンスを重要視していない。

 

事件に翻弄され、警察の暗部、韓国の暗黒面を明るみにする事に注力しているように感じるシークエンスの数々が秀悦。

 

オープニングとクライマックスで登場する同様の構図は、ポン・ジュノの拘りが表れている。

 

「犯人がこの映画をみたとき、目があうようにしたかった」と語っている通り、千里眼のような神の視点を持つ。 

 

なお、本作の反響の甲斐もあってか、制作・公開当時は未解決事件という扱いであったが、2019年に真犯人が判明する。

 

現実社会における後日譚がつき、本作はさらにハクがつくことになった。

 

1位 グエムル-漢江の怪物-(2006年) 180Point

キネ旬3位、映画秘宝1位)

韓国映画ランキンググエムル漢江の怪物

監督:ポン・ジュノ

脚本:ポン・ジュノ

出演:ソン・ガンホ

   ピョン・ヒボン

   パク・ヘイル

   ペ・ドゥナ

   コ・アソン

時間:120分

 

「吠える犬はかまない」からその超絶進化形となる「殺人の追憶」を経て、テーマから一変した、モンスターパニック映画。

 

実際にあった大量のホルムアルデヒドを漢江に流出させた事件からインスパイアした社会風刺を撮っている。

 

怪獣造形は、爬虫類と両生類の性質を合わせ持つ設定で、細部に渡るまで緻密にデザインされ、韓国のスピルバーグと呼ばれる由縁ともなるCGを駆使。

 

その結果もあり、当時の韓国歴代興収を塗り替えた大ヒットを記録した。

 

そんなモンスター×ウイルス×ポン・ジュノ×韓国スター(ソン・ガンホぺ・ドゥナ、パク・ヘイル)というハイブリット映画。

 

序盤からモンスターを出現させ、下水道探索劇、病院からの逃走劇、戦闘シーンなど見所は多く、バラバラだった家族の絆が強まる人間ドラマが描かれている。

 

怪獣というモチーフを通して示唆される韓国社会に内在する問題を炙り出し、風刺をもって描いているといった手法は、正直新しくはない。

 

それでも本作がポン・ジュノらしさが光るのは、モンスター映画に終始せずに、コメディ、ホラー、アクション、サスペンスなどのジャンルミックスにより楽しませるところにユニークなエンタメ性がみてとれる。

  

殿堂入り「パラサイト 半地下の家族」(2019年) 190Point

キネ旬1位、映画秘宝2位)

韓国映画ランキングパラサイト

監督:ポン・ジュノ

脚本:ポン・ジュノ

出演:ソン・ガンホ

   チョ・ヨジョン

   チェ・ウシク

   パク・ソダム

時間:132分

 

ポン・ジュノ監督の「パラサイト」の面白さは異常!


これまでの作品での高評価をも覆すネクストステージへ飛び級昇格!

ポン・ジュノ最高傑作どころか韓国映画最高傑作のひとつなのは揺るがない。

 

韓国映画はまだまだ伸びしろがあり、毎年傑作が出てくるけど、これは次元の異なる弩級の1本。

韓国映画界の黄金期はポン・ジュノが引っ張っている限り、まだまだ快進撃が続き、これに触発されて傑作がこれからも誕生する可能性を示してくれたことも貢献度が大きい。

様々なジャンルミックスものの最高峰だし、そのどのジャンルもレベルが高水準。

格差社会問題の反映、高低差の家の対比表現、ユーモアと緊張感のバランス、想定外の展開から、ラストの着地の見事さなどは、思わず拍手喝采したくなる。

 

本作では、さまざま場面で富裕層と貧困層を上下間で視覚化してみせる残酷なまでの対比表現。

 

さらに、畳み掛けるようにして、下層社会ならではの染み付いた匂いを持ち出すことで、普段は気づかないものの上流社会においてはすぐ気づいてしまう差別化のファクターを用いることでより強調されて描かれる。

 

そんな格差社会を風刺する世界的なトレンドを取り入れつつ、ポン・ジュノ作品を色濃く反映させた最新系は、相性抜群の相乗効果により、最強の進化を遂げた。

 

 アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞。

カンヌ映画祭パルム・ドール

 

 韓国映画ランキングパラサイトモノクロ

「感覚が極限まで研ぎ澄まされる」「黒と白、超えられない線はない」というキャッチコピーの通り、陰影により、格差のコントラストがより際立っているモノクロ版も必見。

  

まとめ

韓国映画ランキングまとめ

・【韓国映画】1999年以降生まれ変わった

・【韓国映画ポン・ジュノ

・【韓国映画羅針盤となるパラサイトが誕生した2019年

・【韓国映画】ランキング集計のシンプルなルール

・【韓国映画】ランキング(1999〜2019年)

 

殿堂入り パラサイト(2019年) 190Point

1位 グエムル-漢江の怪物-(2006年) 180Point

2位 殺人の追憶(2003年) 170Point

2位 母なる証明(2009年) 170Point

4位 息もできない(2008年) 150Point

5位 チェイサー(2008年)  130Point

6位 はちどり(2018年) 90Point

6位 新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年) 90Point

8位 オアシス(2002年) 70Point

9位 JSA(2000年) 60Point

10位 オールドボーイ(2003年) 58Point

 

1999〜2019年版のランキングをまとめてみたものの、結果としてはポン・ジュノソン・ガンホばっかり!

 

というのが正直なところなんだけど、今の時代を反映させたランキングという事なのでしょう。

 

でも、どれも映画史に残る外せない名品なので、独自のランキングながら、面白い結果になったのでは。

 

新作映画の公開が少しずつ戻ってきているので、過去作品の見直しの参考になれば。

 

こういう企画、10年後くらいにまたやりたい。

 

なお、韓国の文化や歴史を学べば学ぶほど、もっともっと韓国映画を深く楽しめる。

 

映画を通じて、これらを一緒に学び、知識を蓄えられるようになってきたので、これからもっともっと韓国映画に注目したい。

 

PS.個人的な【韓国映画】ランキングベスト10(順不同公開順)

・カル(1999年)

・公共の敵(2002年)

・悪魔を見た(2010年)

ビー・デビル(2010年)

・ある会社員(2012年)

・泣く男(2014年)

・バーニング(2018年)

・パラサイト(2019年)

・別れの決心(2022年)

・小説家の映画(2022年)

 

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